出版社内容情報
白洲 正子[シラス マサコ]
著・文・その他
前 登志夫[マエ トシオ]
解説
森 孝一[モリ コウイチ]
解説
内容説明
遥坂、大津、比良山、竹生島、沖の島、鈴鹿、伊吹等の琵琶湖を中心とした日本文化の発生の地、近江。かつて“えたいの知れぬ魅力”にとりつかれた近江の地を、深々と自らの足で訪ね歩き、古代からの息吹を感得する。王朝の盛衰、世阿弥の能の源流、神仏混淆のパターン等々、日本文化の姿、歴史観、自然観の源泉への想いを飛翔させ、鮮やかに現代から古代への山河を巡る紀行エッセイ。
目次
近江路
逢坂越
大津の京
紫香楽の宮
日枝の山道
比良の暮雪
あかねさす紫野
沖つ島山
鈴鹿の流れ星
伊吹の荒ぶる神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
54
これほど旅をいざなう作品も珍しいかもしれない。白洲さんの紀行文を読むと、そこがいかに便の悪いところにあろうとも(その場合のほうが多いのだが)、ぜひとも行ってみたくなる。彼女が行くのは決して観光地ではない。見る眼がなかったら、ただの農村であり草原であり古びたどこにでもありそうな寺であろう。しかしそれが彼女の眼には、「古代の神話を絵にしたような景色」(伊吹山と竹生島p176)として現れ、「あんな落日は見たことがない。再び見ることもないだろう」(長浜城跡からp92)という風景となり、「理屈抜きで、浄土の世界↓ 2017/04/09
こきよ
38
白洲正子氏が、西国巡礼の取材の折、「得体のしれない魅力にとりつかれた」という近江。この国の原風景たる、近つ淡海の情景が目に浮かびますね。自分も、彼の地に、その何処か〝得体の知れない魅力〟を漠然と感じていたのだが、氏の凛とした、流麗な文章を読むと、正に〝言い得て妙〟と感じましたね。2014/06/12
Gotoran
37
白洲正子女史が、近江(滋賀県)の史跡を旅しながらその土地の古代史について書き綴ったエッセイ。逢坂山周辺と室町文化、大津の町と大津京、甲賀と信楽の宮、日吉大社と坂本、比良の霊場と白髭神社、竜王山と日野、奥島山と長命寺、鈴鹿山系と木地師、伊吹山と古代豪族など、山地の信仰と文化に纏わる旧跡を主として訪れ近江史を紐解いていく。取り上げた地域がどのような役割を果たしていたか古代史の流れの中での位置付けをも試みられている。大変興味深かった。2024/01/08
紫羊
37
深い教養に裏打ちされた白州正子ならではの大胆な私見に、世紀を越えても変わることのない人間の業に慄き、「あかねさす」では、色恋の生々しさから自由になった額田王の、度量の大きさに心踊った。2017/05/30
ニコン
23
「偉大なるしゅららぼん」、「冬虫夏草」と琵琶湖つながりで再読しました。琵琶湖周辺の歴史を語る紀行であり、エッセイなので小説とは違う風景、神秘的な風景が目に浮かびます。2014/03/08