内容説明
“遊び”の真の精神を知り尽した陶器鑑賞家にして装幀家。美の絶対境を追求しつつ命を懸けて美の世界を生き通した伝説的な批評家青山二郎。彼を知悉した小林秀雄をして「僕たちは秀才だが、あいつだけは天才だ」とまで言わしめた青山二郎の代表的評論「眼の引越し」等十六篇。独特の批評精神漲る芸術論、陶芸・絵画論に加えて貴重な未刊行本の草稿「利休伝ノート」を初めて収録。
目次
眼の引越し
眼の筍生活
上州の賭場
博徒風景
若気の色
続・若気の色
画と小説の手習い
梅原龍三郎論にまなびて
梅原龍三郎
富岡鉄斎
私の接した中原中也
贋物と真物について
奇妙な「永仁」重文解除
唐九郎を“鑑定”する
知られざる神
利休伝ノート
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
2
「現実というものは何時でも既に思考の世界よりも一足進んでいて、若しかすると石が流れて木の葉が沈むのを、何処かで烏が見つめているのかも知れません」。二度目だから、というより、『鎌倉文士骨董奇譚』でだいぶわくわくしたあとからだろう、前よりぐっと入り込んで読めたと思う。「美」とは何かというのは「美学」なる学問があるくらいで定義が一筋縄ではいかないことなんだろうが、まず物そのものに美があるか。それを見たら見たその瞬間に美は認識されるのか。美を読みとく精神が必要なのか。青山は眼の有り様を問題にする。でいいかな。2014/04/26
ねね
1
わからないー、わからないけれどわかりたいきらりと光る文章が散りばめられていた。今の自分ではここまで。2022/10/11
papa0604
1
小林秀雄は「美しい『花』がある。『花』の美しさという様なものはない。」と言った。青山も同じ様なことを書いているのだが。この本を読んで感じたのは、青山が「美しい花」なら小林は「花の美しさ」ではないかということ。小林が語ったことを、青山は生きたのではないかということ。2015/11/17
おめるた
1
青山は天才だったのだろうか?わからないが、書いてあることは個性的で面白かった。青山の物の見方が特に面白い。2010/10/29
しょうこ
1
ゲスかつ高尚な天才の書いた、油断ならない文章。何を言っているか分からないおじさまの話を聞いているときと同じモヤモヤと、時折驚くほど鮮やかな感銘と。利休伝ノートはしびれた。読むのしんどかった。2010/03/13