講談社文芸文庫<br> 壊れものとしての人間

講談社文芸文庫
壊れものとしての人間

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  • サイズ 文庫判/ページ数 250p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784061962101
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

幼年期をすごした、四国の深い森の奥を出て作家になった著者は、読書をひとつの手がかりとして、自分の内部の暗闇を凝視する。己れが引き裂かれているという強迫観念。個としての死への怯え。破滅に瀕したこの世界と宇宙。小説家の自由な思考が記憶を手繰り、己れの過去を顧みる。作家大江健三郎の精神の原点と、創造世界の内奥を小説に近い告白的な語りのうちに綴った長篇評論。

目次

出発点、架空と現実
言葉が拒絶する
パンタグリュエリヨン草と悪夢
核時代の暴君殺し
作家にとって社会とはなにか?
個人の死、世界の終り
皇帝よ、あなたに想像力が欠けるならば、もはやいうことはありません

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

24
☆☆☆★ 旧講談社文庫版で読了。エッセイとも批評とも小説とも読める一篇一篇が充実した骨太な文章。英語の文献からエッセンスを抽出してくるのは大江が得意とするものだが、そのたくらみは効果的で、言葉が響いてくる。時折出てくる四国の方言も諧謔的で面白い。2020/10/17

やまねっと

6
書いてあることがさっぱりわからなかった。書かれていること、これが文学的定義なのかと思えば大方の説明はつく。一つの文章でありとあらゆるところにテーマが飛んでいくので、字面だけを見て理解するに及ばなかった。この本はエッセイだけど、小説として読めばある程度納得のいくことだと思う。 苦い読書体験の一つとなった。

にゃら

3
初期の小説の魂のようなものが描かれている自伝を含んだエッセイ。大江健三郎はやはり天才的だと思った。谷間で育った怪物である。傑作でした。2017/09/11

@第2版

2
甚だ晦渋だった。それは文体もさることながら、引用される書物が膨大を窮めることにも起因している。自分の狭隘な読書経験では到底太刀打ちできなかった。 巻末の解説が窮めて解りやすく纏められており、大江文学における本著の凡その立ち位置を把握できただけでも取り敢えず良しとした。どうやら「核時代の想像力」を先に読むべきだったらしい。 他に、個人的に注目したのはp198で言及された「救済」という言説。恐らく大江文学でこの言説が現れたのはこれが初ではないか? 今後の方向性を規定する重大な起点と思われる。再読必須。2020/02/08

gurisan

1
★★☆☆☆2009/07/27

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