講談社文芸文庫<br> 時に佇つ

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講談社文芸文庫
時に佇つ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 214p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784061961890
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

昭和初年のプロレタリア文学運動。弾圧下の非合法活動。戦前・戦中・戦後を通し真摯に闘い続ける著者が、激動の時代の暗い淀みを清冽、強靱な“眼”で凝視し、「時」の歪みの底に沈む痛ましくも美しきものを描出する自伝的短篇連作12篇。窪川鶴次郎の死の周辺を綴った「その11」の章で川端康成文学賞を受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社トリスタの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

35
プロレタリア文学の作家として出発した佐多稲子さんの連作短編集。昭和初期のプロレタリア運動の断面や特高警察の取り締まりなど、今の日本の社会からは想像しにくいことが書かれていて、興味深かった。非常に張りつめた文体が印象的で、簡単に読み飛ばすことができない、これぞ純文学という感じの作品。時流に流されず体当たりで懸命に生きてきた佐多さんの人生のずっしりとした重みが、充実した読後感になって残る。自分の夫だった人の死を書いた描いたその11がベスト(川端康成文学賞受賞作)。続く。2012/10/15

Ayakankoku

11
佐多稲子さんの文章は、大学入試でしばしば扱われているため、ずっと読んでみたいと思っていた。読み終えるまでに半年ほどかかってしまった。2020/04/27

あ げ こ

7
過去を懐かしく振り返る時のような、痛みさえも快い刺激となり得る甘さを伴う類のものではない。むしろ過去と言う時に佇むことによって生じる葛藤や哀しみ、後ろ暗い感情のすべてを見据え、自らの未熟さ、愚かしさを、時と言う流れの中に埋れさせぬ厳しさがある。今を歩む自らが抱くものとは違う、だがかつて真摯に抱き続けていたものであるからこそ、色合いを変えたいくつもの思いの間に、不意に呼び覚まされた遠い日々と、今に在りながら、その時々に佇つ自らとの間に生じた齟齬。そこから目を背けぬ強さは美しく、胸に秘めた激しさを感じる。2014/08/19

Narumi

2
エッセイ集のようで、昔あった人を思い出すという内容のものが収められています。この方の文章はいつも柔らかいのですが、内容は柔らかくない。発行が1976年のようですが、自分が特高に引っ張られた話、満州に慰問に行って現地でなくなった兵士の葬儀に出る話、樺太を越境してソ連に渡った岡田嘉子(ここでは仮名)にモスクワで会う話など、とにかく濃い。まるごと昭和前半史の証言になっています。2020/12/12

symphonycogito

1
とても真摯な言葉。真っ直ぐで、しかしそれゆえに内側は傷つきやすいような、そういう人間の脆さをこの作者はじっくり時間を掛けて、飲み込み、克服しようとしている。その作業は、絶対に意味のあるものだと思う。文句なしの名作。2009/04/04

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