内容説明
1984年、出雲の弥生中期の遺跡神庭荒神谷から大量の青銅器が発掘され、世間の耳目を聳動させた。銅剣三五八本、銅鐸六個、銅矛一六本、初の同時出土。古代の出雲には、どのような勢力が存在したのか。大和や吉備との関係は、どのようなものであったのか。考古学上の新発見と数多くの論考・新説を検討し直し、著者独自の視点から、鮮明な古代出雲像を提示する。
目次
序章 荒神谷以後
1章 原イツモ国―荒神谷遺跡をめぐって
2章 原イツモ国の行方
3章 イツモ王国
4章 イツモ王国の変質
5章 出雲と律令制
著者等紹介
門脇禎二[カドワキテイジ]
1925年高知県生まれ。京都大学文学部史学科卒業。奈良女子大学教授、京都府立大学教授、同学長、京都橘女子大学学長を歴任。現在、京都府立大学・京都橘女子大学名誉教授
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感想・レビュー
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うえ
9
「大量の銅剣が出土したのが出雲西部の神奈備の麓、大量銅剣を象徴する神格は広域に威を張ったもの、中細銅剣という型式で銅矛…などとは異なる分布圏の中心となっていること、これらの諸条件をそなえた弥生時代の現地の勢力を、原イツモ国とわたくしは理解したい。そして、この銅剣の前後には同型式のものが認められないから、原イツモ国は独自性をもったがその存続は短期間であったともされる。しかし、銅剣につづく時期の西方約五㎞の西谷四隅突出墳墓群=在地首長の形成とも結んで理解すれば、原イツモ国の存在は弥生後期にも及んだとみられる」2018/10/22
筑紫の國造
8
膨大な銅剣が発掘された島根県の荒神谷遺跡。ここには、かつて何があったのか。著者は、「原イツモ国」という言葉を使う。ヤマトとは異なった文化を持つ、出雲の地、そこにはどんな文化があったのか。文献史学と考古学を駆使し、出雲にあった国の姿を解き明かしていく。かなり面白く読めた。出雲中でも地方によって別の勢力が勃興し、時代と共に交代で覇権を握る。推論が多くなるのはやむをえない。ロマン溢れる一冊。ただ、読みやすいが、古代に適用される独特の用語などは脚注がなく、知識がないと分かりにくい。2019/01/25
ymazda1
4
この文庫の鳥越さんの出雲本と合せて読んだ・・・この2冊にはたしか数十年の隔たりがあって、もちろん各々の自説の差はあるんだろうけど、その隔たりのあいだに大量の銅剣が発見されたことで、ここまで出雲像が違ってしまうのかとか、やっぱ古代史ワールドは不思議・・・素人の自分は、四道将軍は四面ではなく大いなる勢力との一面抗争で、その先に大出雲みたいなものを夢想してしまう。。。
大臣ぐサン
1
出雲の神庭荒神谷遺跡から銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本が出土された1980年代に書かれた古代出雲論。当時この発見がどれだけセンセーショナルであったかが窺える。誰が、何のためにこの莫大な財宝を埋めたのか、今もそのなぞに明確な答えは出されていない。私は出雲の国譲り神話はクーデターだったという説が捨てられないのだが。2019/01/07
yabekuni
1
旅のお供に。批判に対してムキになって反論してるところが長すぎて……。ちょっと困ってしまいました。他の部分はよく整理されてるのかなあ。それすらもわからなくなりそう。2016/03/07