講談社学術文庫
室町時代の一皇族の生涯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 415p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061595729
  • NDC分類 210.46
  • Cコード C0121

内容説明

後崇光院伏見宮貞成親王が綴った『看聞日記』は、室町前期の息づまる政局の脈動をありありと伝える。皇位継承をめぐる皇族間の確執、将軍義教の粛清政治、巷の風聞、宮廷の四季を彩る祭礼・行事・遊びの数々や猿楽・茶の湯・連歌など新しく興隆した芸能文化の様子。波瀾と珍奇に富む多彩な日記の世界を披露しながら嫡男を皇位に即ける念願を果たした筆者の生涯を追う。

目次

春(薄明のなかの青春;義満時代から義持時代へ―「王者」の時代像 ほか)
夏(宮家嗣立;遊興の席 ほか)
秋(『椿葉記』の世界;一庄同心 ほか)
冬(日記の終焉;薄暮のなかの余生 ほか)

著者等紹介

横井清[ヨコイキヨシ]
1935年、京都市に生まれる。立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。日本中世史専攻。京都市史編さん補助・花園大学文学部助教授・富山大学人文学部教授・桃山学院大学文学部教授などを歴任
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感想・レビュー

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南北

43
伏見宮貞成(さだふさ)親王の「看聞日記」を通して室町時代の政局や当時の噂話などが描かれる。40歳でようやく元服、54歳で親王宣下を受けるなど決して順調とは言えない生涯であることがわかる。上皇や将軍に翻弄される様子が日記からうかがえて興味深く読めた。「万人恐怖」と言われる足利義教とは比較的良好な関係を保ちながら、日記には「薄氷を踏む思い」であると記したり、祖父の崇光上皇を含めて3人の上皇が南朝に拉致されたことが原因で皇統から遠ざかってしまった伏見宮家を「隠士の家」と称していたりするなどおもしろいと感じた。2022/06/29

bapaksejahtera

12
中世の日記史料としては満済准后日記や園太暦と並ぶ看聞日記の著者伏見宮貞成親王の伝記である。北朝の持明院統乍ら一時後光厳流の皇統が続き、高齢に及ぶ迄親王宣下もなされなかった貞成サダフサ親王が終に子息(後花園)の登極を得て後太上天皇の宣下を忝うする迄、看聞日記を中心に極めて判りやすい文体で述べられる。波乱に満ちたこの時代の歴史を縦横にして理解するに十分である。看聞日記は中世の文化風俗史料として貴重とのことだが、本書ではその趣はあるものの多くは政治史に当てられる。次は日記そのものに論及する書が読みたいものだ。2021/12/05

sibasiba

10
作者の貞成に対する思い入れが濃厚で苦笑させられる。色々苦労もあったけど多くの望みを叶え、息子を天皇にもして大往生で勝ち組だよな。将軍義教は暴君で付き合い大変だったのだろうが。お金に苦労してたが後の戦国時代の宮家は更に貧乏になるんだよな。2013/09/29

六点

4
伏見宮貞成親王の残した日記を読み解き、室町時代の諸相を描く中世史研究の傑作本なのだが、自分の庭のために衆庶の庭木を徴発して回る将軍家の同朋衆と、何かといえば集団で敵をボコる伏見住民とか、上も下もみんな攻撃的過ぎて、引く。まぁ日記の筆者も氾濫した宇治川を見に行って「おもしれー」とかいう人なんで、時代精神は上下を問わないんだなあと思いました。2014/12/08

fukurou3

4
増鏡の時代より経済的にも文化的にも公家の力が衰えている印象。古典の研究者は作品と作者に対する思い入れが非常に強い感じがするが、事実と想像と感想と解説とが一体となった独特の文章なので、素人の私には読みにくいところがあった。また、著者は貞成親王を好々爺のように解釈しているような印象だが、時代背景やこの本に出てくる事実関係をみる限り、本人の内心はともかく客観的には権謀術数に長けた老獪な貴族であったと考える方が素直な気がする。2012/06/08

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