講談社学術文庫<br> 明治日本美術紀行―ドイツ人女性美術史家の日記

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講談社学術文庫
明治日本美術紀行―ドイツ人女性美術史家の日記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061595569
  • NDC分類 702.16
  • Cコード C0121

内容説明

訪日五度、滞日延べ十年余―ケルン東洋美術館の生みの親フリーダ・フィッシャー。彼女は、竹内栖鳳、黒田清輝、井上馨、田中光顕、住友吉左衛門、根津嘉一郎、原三渓ら美術家・蒐集家と交流して日本美術への認識を深め、それらを育んだ日本人の気息に触れんと努めた。本書は彼女の日本日記であり、近代日本美術界の消息を伝える貴重な資料でもある。

目次

一八九八(明治三十一)年(京都―正月の民俗、巨勢小石邸、竹内栖鳳邸;京都―望月玉泉邸 ほか)
一八九九(明治三十二)年(東京―高嶺秀夫邸、浮世絵コレクション、武内桂舟邸)
一九〇二(明治三十五)年(日本の美術研究、博物館と美術館;高野山―空海、奥の院、久保田鼎、密教美術 ほか)
一九〇五(明治三十八)年(京都―京都帝室博物館、J.コンドル;プロイセン号、伊藤博文の養嗣子、有栖川宮 ほか)
一九〇六(明治三十九)年(日本―高野山)
一九〇七(明治四十)年(京都、奈良―寺院建築、東アジア美術の展開;京都―京都帝室博物館、絵巻物、西本願寺、狩野派)
一九〇九(明治四十二)年(ケルン―ケルン市議会、美術館建設計画案)
一九一〇(明治四十三)年(京都―日本のオークション、掛物、絵画修理、贋作;大阪―住友吉左衛門邸、住友コレクション ほか)
一九一一(明治四十四)年(ケルン―旧ケルン東洋美術館の定礎式;奈良―贋作師 ほか)
一九一二(明治四十五)年(離日;ケルン―旧ケルン東洋美術館の完成)
一九一三(大正二)年(ケルン―旧ケルン東洋美術館の開館)

著者等紹介

フィッシャー,フリーダ[フィッシャー,フリーダ][Fischer,Frieda]
1874~1945ドイツの東アジア美術史家。夫アドルフ・フィッシャーとともに五回の日本美術研究旅行を経験。ケルン東洋美術館第二代館長

安藤勉[アンドウツトム]
1947年生まれ。上智大学外国語学部卒業、同大学院修士課程修了(日独・日欧文化交流史専攻)。日本医科大学助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クラムボン

14
明治期に通算五回の来日、十年余も滞在したドイツ人女性が居た。夫と共に半生を東洋美術の研究と蒐集《ケルン東洋美術館》の開設に捧げた。西洋では既に日本の陶磁器・刀・浮世絵は知られていたが民俗学的な興味が主だった。一方日本の美術品の多くは寺院や旧大名家が所蔵。外国の民間人が美術品を閲覧するのは敷居が高い。初めは京絵師の流れを汲む日本画家(竹内栖鳳等)が歓待した…その後に寺院行脚が始まる。そして徐々に旧大名家の黒田家や松浦家・元勲の井上馨や田中光顕、実業家の根津嘉一郎や原三渓の蒐集品を目にする機会を得るのだ。 2023/01/02

ぴよぴよーーーーー

4
ドイツにてヨーロッパ初となる東洋美術館の設立を目指した女性美術史家の日本美術紀行記。日本文化・美術に触れて研究するべく、ありとあらゆる(?)寺院や博物館、また著名な美術蒐集家のもとを訪れた彼女はその時々で日本人の繊細な感覚、強いこだわり、また性格、そしてそれが色濃く表れている造形物に深い感動を抱く。一方、卑怯な手立てで贋作を売ろうとする古美術商に対しては率直に深い疑念を以て臨む。日本人が欧米の美術に触れ…という著作は多々あるが、その逆、海外の美術家からの異文化交流アプローチは貴重である。2015/04/04

Shoko Chiba

2
夫と共にドイツはケルンに東洋の美術館を建てたフリーダ・フィッシャーの日本滞在記。 異文化を背景に持つ人の滞在記は日本文化や日本人に触れた新鮮な驚きや時には落胆が前面に立つことがままある。しかし、筆者の場合、かなりの前提知識と日本美術に対する深い理解、愛情があるため、明治期美術界の著名な人物たちの行き方や考え方が生々しく伝わってくる点が魅力。画家たちは今日的にアーティストというより、職人という方がしっくりくる。筆者が建てた美術館は今は場所と所蔵物を変えて残っているようなので、近く訪れたい。2016/05/11

ホークス

2
明治日本印象記の著者アドルフ・フィッシャーの夫人であり、美術研究家のフリーダ・フィッシャーによる日本美術紀行である。意識的と思えるほど、同行している筈の夫は登場しない。全編を通じて、フリーダの率直な美術探究と日本文化探究が綴られていて、一緒に何処か遠い国を訪問している様な楽しさを感じた。井上馨など、当時の著名な政治家や富豪の横顔も知る事ができる。アドルフの著書とともに読むのが良いと思う。2014/07/04

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