内容説明
桐壺院の崩御を機に、しのびよる衰運の兆し。自らの危機を悟り都を離れた光源氏は、流離を重ねるなかで明石一族との邂逅を果たす。そして、凶事が続く京の帝に召され、帰参する源氏。その彼を迎えたものは、このうえなき一門の繁栄だった。作品中、最も劇的な「須磨」「明石」をはじめ、「賢木」~「松風」を収録する、完訳『源氏』第二巻。
目次
賢木
花散里
須磨
明石
澪標
蓬生
関屋
絵合
松風
著者等紹介
今泉忠義[イマイズミタダヨシ]
1900年愛知県生まれ。1923年国学院大学文学部卒業。国学院大学名誉教授。文学博士。主著『国語発達史大要』『国語史概説』『現代語の性格』『日葡辞書の研究』『徒然草―附現代語訳』『源氏物語―本文篇―』(共編)ほか多数。1976年没
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感想・レビュー
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優希
46
賢木から松風になります。桐壺の崩御から見え始めた衰運の兆しから逃れるように光源氏は京都を離れます。流れゆく中で明石の上と関わる中で凶事に次ぐ凶事が京では続いているようでした。しかし、帰京した光源氏を迎えるのは一門の繁栄というのが皮肉です。ここから光源氏の栄華が始まるのですね。2023/04/28
Tonex
1
「須磨源氏」という言葉があって、昔からこのあたりで挫折する人が多かったらしいが、ここまでの派手な女性遍歴のエピソードは人物紹介編のようなもので、ここからが本編ではなかろうか。ここでやめたら意味がない。/登場人物の親族関係が複雑すぎて、誰と誰がどういう関係なのか、系図を見ても混乱する。初読で理解するのは無理。とりあえず細かいことはあまり気にせず読破を目指したい。/悪いことはすべて「前世の宿縁」という言葉で説明されてしまう。安易なようにも思えるが、「前世の宿縁」という考え方は案外今でも使えるような気もする。2014/11/22