内容説明
森鴎外、多面的な発光体―明治日本の近代化・西洋化の先導者、またロマネスクな青春小説から重厚な史伝文学に至る名作の作者、そして陸軍軍医総監まで務めた顕官として日本近代史に枢要の地歩を占める。本書は、そのような鴎外の小説以外の評論・エッセイの中から主要なものを収めた。貴族主義から民主主義へ、劇的な転換を遂げる鴎外の内面を跡づけ、褒貶喧しい鴎外評価に清新な結論を与える。
目次
大学の自由を論ず
しがらみ草紙の本領を論ず
鴎外漁史とは誰ぞ
洋学の盛衰を論ず
仮名遣意見
夜なかに思った事
混沌
当流比較言語学
鼎軒先生
文芸の主義
サフラン
歴史その儘と歴史離れ
盛犠私記
高瀬舟縁起
寒山拾得縁起
空車
なかじきり
礼儀小言
古い手紙から
遺言