内容説明
一切の甘えを切り捨て、ひたすら剣の道に生きた絶対不敗の武芸者宮本武蔵。武蔵は、「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」る何十年にも亙る烈しい朝鍛夕錬の稽古と自らの生命懸けの体験を通して「万里一空」の兵法の極意を究め、その真髄を『五輪書』に遺した。本書は、二天一流の達人宮本武蔵の兵法の奥儀や人生観を知りたいと思う人々のために、『五輪書』の原文に現代語訳と解説、さらに「兵法35箇条」「独行道」を付した。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
著者の生き様を学ぶ庵さん
36
弓道にせよ、剣道にせよ、「武術」を「武道」に高め、死に物狂いの修行の末に極みに達した方々は神々しく見えます。途中、刀の使い方が長々と続くのですが、武蔵の心の叫びのように聞こえてくるため、嫌みに感じることなく、他の章と同じく生き様や哲学の語りに聞こえました。2016/12/05
おせきはん
29
宮本武蔵が綴った兵法書です。人を斬るという目的に即して、太刀の使い方をはじめとする戦術だけでなく、戦いにおける心構えも論じています。日々の鍛錬を通じて会得していく、遠くを心で観ることや先手を取ることの大切さ、物事に執着しない柔軟性など、日常生活において参考にしたいことが多く書かれていて、背筋が伸びる思いがしました。2020/05/05
デビっちん
27
再読。宮本武蔵ほど合理的でも継続力もない自分は、もっとやるべきことを削ぎ落としていかないと探究できませんわ。逆に考えると、やらなくていいことを決める必要があって、その前提にはどんな未来を描くかです。目標が曖昧だからムダなことしちゃうんですよね、きっと。2019/07/16
bookreviews
25
事前に自ら想定問答を考え、考えられる手立てを講じ、「ここまでやったんだから大丈夫」という気持ちで本番を迎えること、これが宮本武蔵氏の言う「空」の状態かと思います。そこまで準備することで、少しの異変でも「何かおかしいな」とアンテナが立つようになり、早めに修正に向けて動き、局面を打開することができると考えます。 https://bookreviews.hatenadiary.com/entry/FiveRings2023/08/06
バズリクソンズ
22
なぜ武蔵が今現在まで語り継がれ人気を博しているのかの問いを向けられたなら、この五輪書を真っ先に熟読して頂ければと答える。地水火風空のそれぞれの巻に晩年にして自身の経験をしたため、兵法を説くがその感性や異次元の目線が宮本武蔵という唯一無二の侍を生み出した要因に他ならぬ。個人的には会社勤めの方よりプロスポーツ選手に刺さる教訓が目白押しであるような気がする。「敵になるといふ事、敵になるといふは、我身を敵になり替へて思ふべきといふ所也。」この箇所は絶対絶命の場面にこそ通用しそうな訓示。何事も朝鍛夕錬の稽古の成果!2022/08/06