講談社現代新書
教育と国家

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  • サイズ 新書判/ページ数 211p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061497429
  • NDC分類 373.1
  • Cコード C0236

出版社内容情報

「愛国心」教育のウソを衝く!

戦後教育悪玉論
教育基本法を改正すれば教育がよくなると言う論者は、学校教育の意味をまったく問い直さず、かつてうまく機能していた(と彼らが思っている)学校制度をそのまま復活させれば子どもがよくなる、と思いこんでいる。しかし、今日ではむしろ近代の学校制度そのものが新たな社会環境、メディア環境によって問い直されているのです。そこにかつてなかった学校現場の現象も生じてきているのですから、教育基本法は学校教育制度を自明の前提としているという面では問い直されるべきですが、それは現在の改正論とはまったくレベルの違う問題なのです。――<本文より>

第1章 戦後教育悪玉論――教育基本法をめぐって
第2章 愛国心教育――私が何を愛するかは私が決める
第3章 伝統文化の尊重――それは「お国のため」にあるのではない
第4章 道徳心と宗教的情操の涵養――「不遜な言動」を慎めという新「修身」教育
第5章 日の丸・君が代の強制――そもそもなぜ儀式でなければならないのか
第6章 戦後教育のアポリア――権力なき教育はありうるか


高橋 哲哉[タカハシ テツヤ]
著・文・その他

目次

第1章 戦後教育悪玉論―教育基本法をめぐって
第2章 愛国心教育―私が何を愛するかは私が決める
第3章 伝統文化の尊重―それは「お国のため」にあるのではない
第4章 道徳心と宗教的情操の涵養―「不遜な言動」を慎めという新「修身」教育
第5章 日の丸・君が代の強制―そもそもなぜ儀式でなければならないのか
第6章 戦後教育のアポリア―権力なき教育はありうるか

著者等紹介

高橋哲哉[タカハシテツヤ]
1956年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は、哲学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

19
国家からの押し付け教育、ナショナリズム教育を危惧し、批判したもの。うなずけるところもあったが、一部極論に思えた箇所もあった。現場の教師たちは、とにかく余裕がないという印象。十分な準備ができないまま、授業や人間教育にあたる現実、うまくいかない家庭との連携。個々人の能力を無理なく伸ばすということの困難さ。問題点は山積みである。教員採用時に人間的な面も見てほしいと思うが、採る側も人間だから見極めができるかどうか・・・。相当難しいだろう。2012/09/10

katoyann

17
教育基本法改正案に憂慮し、その新国家主義的な発想の問題点を考察した内容である。改正の狙いは天皇という権威を利用して、国家権力に従順であり、かつ国家共同体のために犠牲となる国民を作ることにあるという。その意味では、目的が教育勅語と変わらない法律が出来たことになる。 また、改正案に盛り込まれた愛国心には、「統治機構としての国家を愛せ」という意味があるという。 安倍から菅に変わっても、あいも変わらず汚職まみれの政権だが、これを批判する精神が教育の名において根本から否定される事が大問題なのだった。2021/04/03

白義

11
内容はこの手の本として極めてシンプル、保守右派の戦後教育悪玉論に反論しながら、国家による道徳や愛国心の強制を批判、教育と個人の論理を守る、というお話。左派系教育論の最大公約数的内容では。当時の保守勢力による教育への干渉などよく整理されていて、議論の流れも結論もクリアな高橋哲哉らしい一冊。思想的立場については高橋哲哉だしあえて掘り下げないが、せっかくだから国家の論理に対置される教育の論理をもう少し思想的に抉って欲しかった気もする。インタビュー形式で物凄く分かりやすいのも強みである2012/05/05

naobana2

9
ゆとり教育ってできる人だけ育てるって考え方だったのかぁ。 ついてこれる人だけついてこいという。 なんでもかんでも国家や教育のせいにされても限界があるといった内容。2013/10/06

NICK

7
高橋哲哉の本というよりは、左系教育論の入門書といった趣きがある。本来、戦後教育は自由や個人の尊厳、民主主義の理念があったのにも関わらず、保守派にその理念が骨抜きにされ、国家権力が教育に不当に介入する戦前と何ら変わらないことを指摘している。特に保守勢力のいう愛国心であるとか伝統文化の歴史的根拠に突っ込むあたりや国歌斉唱といった「儀礼」の批判は面白い。しかし、どうにも全編にわたって「人間の自由(理性?)」というのを過信しすぎているような気がする。果たして人間とはそういつも最良の選択ができるものだろうか?2014/06/20

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