講談社現代新書<br> ローマ人の愛と性

講談社現代新書
ローマ人の愛と性

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 208p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061494763
  • NDC分類 232
  • Cコード C0222

内容説明

平和と繁栄のきわみにあって肉欲の限りを尽くす頽廃のローマ。享楽の性の中で芽生えていく「夫婦愛」と新たな家族のかたち、内なる自分への眼差し。ヨーロッパ的心性の成立を鮮かに描き出す。

目次

プロローグ
1 この世は恥辱と悪徳に満ち満ちている
2 相異なる顔をもつローマ人
3 表象と心象―歴史の逆説
4 「結婚」と夫婦愛
5 「自分を見つめる心」と道徳
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

富士さん

2
名著再読。繁栄の200年間で、時代を少しずつずらしながら心性がどのように変化したのかを見事に跡付けた傑作です。社会科学に親しんでいると、文学的なアプローチは主観的で説得力に劣ると見下しがちなのですが、方法を工夫し巧みに組み上げればここまでの説得力を持ちうるのかと舌を巻きます。しかも、ローマは淫蕩頽廃によって滅んだというイメージを覆し、むしろ清廉純潔になることで滅んだ、より正確には清廉純潔であることが衰退の証であった。そして、それがキリスト教の土壌となったと論証しても見せるのです。鮮やかすぎて、戦慄します。2015/10/06

波 環

1
小谷野敦の『日本人のための世界史入門』に引用されていて、所有していたこもを思い出しての再読。ローマが平和で熟していた200年ほどを取り出し文字資料から人々の心象変化を読み解く。司馬遼太郎が書いた日本人と村上春樹が書く日本人ぐらいの違いがある。著書はそれを貴族的保守と平民的保守と呼んだ。愛と性とタイトルは当時、一個人として認められていたのは貴族男性だけで、女性との向き合いをどう変えていったか、ということ。平民的発想は男としてのプライドを保つため恥をかかされないこと、最後には女性に向き合わないことに行きつく。2016/05/31

米村こなん

0
ローマ帝国における性と愛の文学史的変遷を描く、隠れた名著。2016/03/09

すがし

0
 ローマ人は残虐で淫蕩だったという「社会通念」から文章が始まることにまず意表を衝かれた……そういえばローマを輝ける古代帝国とするのはここ十年くらいのブームなんだなぁと妙に感心してしまった。そういう点で興味深くはあったが、内容は「ローマ人も近代的な倫理観を持っていた」という、自分達の物差しで歴史を測り裁断することに終始しており残念ながら魅力的とは言いかねる。2012/09/03

mosao82

0
ローマ人と一言で言っても千年以上もの長大な歴史の中に不変な価値観の民族がいたはずも無く、どの時代を切り取るかで大きくその心性は異なる。 その中で、とりわけ大きな変化が起こった共和政末期から五賢帝末期までの約二百年を取り上げ、ローマ人の心情に何が起こったのかを探る内容。 各時代の諷刺詩や書簡、結婚制度などを取り上げ、男女のパワーバランスや愛や性に関する意識の変化の論述が面白い。 複数の論文を纏め、新書用に噛み砕いた本らしく、そのためか結論が何なのかイマイチ分かりにくところが有った。2012/06/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/241030
  • ご注意事項