内容説明
言語の「構造」の発見が20世紀の知を変えた。言語学革命の核心と巨大な影響に迫る。
目次
プロローグ 「言語と思考」から「言語の思考」へ
1 ソシュール―最初の衝撃
2 構造言語学の誕生
3 アメリカの構造言語学
4 構造主義という知の炸裂
5 記号論の展開
6 生成する言語学
7 開かれた言語学を求めて
エピローグ 内側からしか開かぬ鍵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
214
表題のとおりに20世紀言語学の概観、及び言語学が何を考えようとしてきたのかが、要領良く紹介された格好の入門書。ソシュールに始まり、プラーグ学派、コペンハーゲン学派、はたまたロマン・ヤコブソンとレヴィ=ストロースの運命的な出会い。そしてロラン・バルトからチョムスキー、さらにはその先までをも展望する。また、次のように説明もなかなかに巧みだ。例えば「伝達の記号学」を発信者の意図を中心とした「作者の記号学」、「意味作用の記号学」を解釈を中心とした「読者の記号学」と比喩的に語ってみせるのである。2012/10/20
(C17H26O4)
69
ソシュールから構造言語学、そこから構造主義へ。そして記号論、生成文法へ。更には社会言語学へと。言語学が言語そのものの本質を追求することの領域に留まらず、ひいては現代思想への大きな流れも生み出したことも含め、言語学の思索の流れがかなり掴みやすい。説明の運びが巧いため読みやすくて、途中で嫌になったりすることもなく、忘却の彼方にある記憶を少しずつ呼び起こしながら楽しく読めた。再読したいと思える本なので買っちゃうかもしれない。良書。2022/11/25
Aster
58
構造主義の本を読む前に予習として読んだ。構造主義や記号論の説明では、要約ではあるものの、現代思想の凄まじさの片鱗を感じた。それ以外の箇所は基本的に人名と簡単な思想の説明が羅列してあるのみで予備知識がないために難解さを感じた。ただこれから構造主義関連の本を読む上ではかなり身になった一冊と言える。2020/03/28
つーちゃん
9
たぶん9割も理解できていないんだけど、少なくとも「外国語が好き」な気持ちで言語学に手を出すと痛い目に遭うことは分かった。ただし、1995年発行のこの著書でさえ、コンピューターによる言語処理に軽く触れているのだから、現代のAI技術による言葉の検証などはあるんだろうなぁと思った。あったとしても理解できる気がしないけどね。2021/10/22
がりがり君
7
哲学は当初から思考の枠組みを言語に規定されていたのだ(その例えとしてアリストテレスのカテゴリー論を持ち出す)という話から始まり、現代思想は言語と不可分という話になり、それでは言語学は何を探求してきたのか、という(ソシュールに始まりヨーロッパ、アメリカの構造主義を巡り、チョムスキーや記号学にも手を伸ばして最後には自然言語解析に至るまでの)壮大な知の旅が始まる。言語学にはアレルギーを持っていたのだけれど、著者の専門が現代思想ということもあり哲学から言語学に接近するという方法を取っており割と取っつきやすかった。2018/08/21