内容説明
有罪とされた哲学者ソクラテスは、どんな罪を犯したのだろうか。その裁判の争点を問い直し、神話的ギリシア世界におけるソクラテスの真の偉大さを考察する。
目次
第1章 古代ギリシア絶頂期の思想状況
第2章 厳格な掟の神テミス
第3章 宗教から思想へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
13
ソクラテスは”宗教”裁判で裁かれた、哲学者なのになぜ?その答えを求めて、常識とされたキリスト教的解釈を排して、宗教的な存在としてのソクラテスを引き出そうとする。なるほど面白そう、ところが…彼はシャーマンでした⁉にガックリ( ;∀;)。これじゃ、「彼の弟子が反民主派だったために巻き込まれた”政治”裁判だった」の方がよっぽど説得力があるよぉ~。2022/11/16
うえ
8
これはおすすめ。従来のソクラテス理解…バーネット、テイラーを斥けつつコーンフォード、ハリソンに依拠しつつ限界も指摘しながら著者は切り込んでいく。曰く、ソクラテスは本当に無罪だったのか…「アウグスティヌスは体系的にキリスト教思想を叙述したが、その著作の膨大な量にもかかわらず肝心のことは神の恩寵のみであるとしたし…その神の恩寵とはいったいなんであるかの概念規定はどこにも行っていない」ソクラテスは「重大なテーマを巡って、それこそ千回も万回も議論を展開しても、ただの一度として結論らしいものに到達した形跡がない」2015/09/21
鵜殿篤
2
うーん。講談社現代新書は他の新書に比べてハズレ率が高い気がしているのだが。ソクラテスやプラトンの全体像を宗教の観点から捉えるという発想自体は、オルフェウス教の影響やアポロン信仰の点から考えても特に悪いというわけではないんだけれども。それはそれとして、本書はソクラテスの宗教について、なに一つ明らかにしていないと思うなあ。ソクラテスがシャーマンならシャーマンで別にかまわないわけだけれども、「ソクラテスの無限の欲望」と言い出されてしまうと、もはやポカーンとなるしかない。2017/08/17
かぶきまる
1
ソクラテスは宗教的存在、いわゆるシャーマンのようなものであったという斬新な視点。ミスリードにも程があると言いたくなるようなタイトルはまだしも、参考文献の類が一切記されていないこと、著者の名前で検索しても出版物以外の情報がほとんど得られないことは念頭に置いて読む必要がある。2017/02/11
Riko
0
図書館で借りた2018/04/21