出版社内容情報
【内容紹介】
さあ どうぞシルヴァスタインのふしぎの世界へ。
倉橋由美子がご案内します!
この魅力的で心にしみるイラスト物語が、地球の上で、花のように、風のように読まれ続けているわけ――を、あなたも見つけてください。
何かが足りない
それでぼくは楽しくない
足りないかけらを探しに行く
ころがりながらぼくは歌う
「ぼくはかけらを探してる、足りないかけらを探してる、
ラッタッタ さあ行くぞ、足りないかけらを……」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
387
シルヴァスタイン作、倉橋由美子訳。経緯は知らないのだが、まだそれほど注目されていない段階で、倉橋由美子がどこかでこれを見つけ、ぜひ自分が訳してみたいと懇望して…であったのだろうか。文もたいがいに省力化されているが、絵(というか、線だけなのだが)はそれこそ究極のシンプルさ。いわば極度の抽象化なのだが、これでも何とか表情が表現できるところがすごい。倉橋の訳文はリズミカルな中にもとぼけた味わいがあって、絵にもぴったり。2023/09/20
やすらぎ
252
ぼくには何が足りないのだろう。そのかけらを探しに行かなければ。でも、ぼくの形はいびつだから早く進めない。カブトムシと競争してる。でも体力はあるから、海でも山でもどこまでも行ける。…ぼくのかけらはどこだい。きみかい?違うよ。形が違うだろう。きみかい?ぼくはぼくだ。きみじゃない。…そのかけらが見つかったからって、ぼくはぼくなのか。それとも、そのかけらでぼくは変われるのか。変わっていいのか。ゆっくり進まないと、花を愛でたり虫と話をできないし、そんなに早く進まなくてもいいのかも。足りないものがあってもいいのかも。2021/05/29
Willie the Wildcat
159
自分に足りない何かを追い求める。他人を羨ましがる。あるいは他人と同じであることに安心する。そうではなくて、もっと”自分らしさ”を大切にしようよ!って語っているような気がする。勇気をくれるような気がする。子供に限らず、大人の心にも響く絵本に感じます。2012/05/23
masa@レビューお休み中
143
ぼくの欠片がなくなってしまった。だから、ぼくは、欠片を探す旅に出るのだ。そうやって坂を上ったり、海を渡ったり、コロコロ転がりながら欠片を探しにいく主人公の物語です。話題になっていたときは、まったく絵本に興味がなくて手に取ろうとも思っていませんでした。それが、今読んでみると、いろんなことを考えさせられるんですよね。主人公は、たくさんの欠片に出会います。いろんな形の欠片に出会い、自分の欠片かどうか確かめていくのです。その様子を見ていると、人間が生きていく行為と同じだなと思ってしまうんですよね。2013/06/30
優希
120
足りない何かを探す「ぼく」の物語。何度も上手く行かない中でようやく見つけた足りない部分。でも、それがかえって今までの余裕を無くし、満たされたのに満たされなくなる寂しさがつくづく伝わってきました。シンプルなのに凄く深い哲学的な絵本だと思います。2015/12/20