出版社内容情報
清少納言[セイショウナゴン]
著・文・その他
角川書店[カドカワショテン]
編集
谷口 広樹[タニグチ ヒロキ]
著・文・その他
内容説明
「源氏物語」とともに王朝女流文学を代表する珠玉の随筆集「枕草子」。清少納言の感性によって描写された機知に溢れる宮廷生活を、現代語訳を読むだけでもダイレクトに味わえる。装束・有職など図版も豊富に収録。
目次
王朝の四季絵巻をひもとけば(春は、曙‐一)
春を迎える喜び(ころは、正月‐二)
小正月(ころは、正月‐二)
大進生昌をやりこめる(大進生昌が家に‐五)
中宮様のまわりはいつも春爛漫(清涼殿の丑寅の隅の‐二〇)
女性の教養は一に習字、二に楽器、三に和歌(清涼殿の丑寅の隅‐二〇)
女も世の中を知ろう(生ひ先なく‐二一)
期待はずれでしらけてしまう(すさまじきもの‐二二)
春の人事のゆくえ(すさまじきもの‐二二)
癪にさわってにくたらしいもの(にくきもの‐二五)〔ほか〕
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
162
中高校の古文の授業で必ずと言ってよいほどに取り上げられる本作品の『枕草子』。およそ『春は、曙…… 』の第一段を習った記憶がおられる方々が多数を占めると思う。でも自分的には、アニメ”一休さん”の中で、唯一”一休さん”がトンチで負けた話が鮮明に焼き付いている。それは第二八四段の『香炉峰の雪』で「香炉峰の雪、いかならむ』と問われて答えられなかったシーン。これは唐代の詩仙の一人・白楽天(白 居易)の『白氏文集』の一節「(香爐峰下、新たに山居をぼくし、草堂はじめてなり、たまたま東壁に題す」を知らないといけない。2016/11/18
ykmmr (^_^)
144
もう…私みたいな読解力のない者が、こういった古典を読む時は、ビギナーズに限る。来年の大河にも登場する作者。ちょっとツンとした、教養振り撒き高貴女だが、時代や世情をサバっと書いていて、実に気持ち良い。紫式部にも言えるが、この時代…貴族といえど…身分差や栄衰が垣間見え。作者や式部の実家も、特別高貴な家でなかったはずだから仕方ないと考えても、短い宮仕えであったはず。他の人も書いているが、私も『源氏物語』よりも、今はこちらの方が好き。単純に、年齢のせいか、恋愛小説に心動かされる事が減ったのと、『人生』を2023/04/06
新地学@児童書病発動中
129
『枕草子』の原文は、この前読んだ『和泉式部日記』より、はるかに分かりやすい気がした。明快で簡潔な文章だ。それにしても清少納言の感性の鋭さに驚かされる。第二百十八段の牛車が月の夜に川を渡るときの様子を、「水晶などの割れたるやうに水の散りたるこそ」と描く。その時が目に浮かぶような美しく詩的な表現だと思う。醜いものやみっともないものを描くときの筆は容赦がない。このあたりはやや意地悪に感じた。自然のことを描いている段が一番好きだ。百九十一段の野分の翌朝の情趣を描くところは、しみじみとした味わいがあり、心に沁みる。2017/01/05
takaC
76
”蠅こそ、憎きもののうちに入れつべく、愛敬なきものはあれ、人々しう、敵などにすべき物の大きさにはあらねど、秋など、ただよろづの物に居、顔などに濡れ足して居るなどよ。人の名につきたる、いとうとまし。” そんな字が付けられた名前もあったとはおそるべし、平安時代。2015/08/26
オリックスバファローズ
57
漢文の教養があって、男性でも平気でやり込める負けず嫌い。しかし、この世界のどこに美しいものが隠れているか、よくしっている。それを的確に言葉で表現し、千年後のわたしたちにまで共感を呼び起こす。清少納言はそういう女性だ。 教養があることによっていかに日々の生活を豊かに、愉快にすることができるか、この本は教えてくれた。