内容説明
那覇の西南西に浮かぶ小さな島・渡嘉敷島。世界一美しい珊瑚に囲まれ、「最後の楽園」と呼ぶにふさわしいこの島で暮らす著者・灰谷健次郎が、日々の生活の中で感じたこと、そして学んだことは―。心の奥深くに染み込んでいく、珠玉のエッセイ。
目次
地球儀にのらない島
健康について
島で暮らす
島便り
沢地久枝さんと―往復書簡
教師をやめた理由
子どもの本の可能性
ピースボートとわたし
醜い日本人、今
自然と教育〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIHOLO
18
「自然が美しいということは、その美しい自然を感じる人の心が必要、美しい自然を美しく保つ人の意志と行動力が必要です」「本はなくても子は育つという言い方があるが、私自身に限って言えば本がなければ私は育っていなかった。虚栄の人間にならないよう努める意志力は読書することによっていくらか身についたように思うのだ」という言葉と、「若者と読書」のページが面白かった。灰谷さんの詩、著書で勧めている鎌田さんの本からの言葉が身に沁みた。コメントに残しておこう。2016/12/16
わった
10
タイトルの通り、優しさについて書かれたエピソードがいくつか登場します。その後はいくつものワードが登場し、その本質について問いかけられます。労働とは何か、言葉とは何か。いろんなことを考えるきっかけを頂いたような気がします。 エッセイの中でいくつも批評が飛び、灰谷先生に対して少し怖い印象を持ちましたが、渡嘉敷島に移住し、島民に対して優しい人たちだと感じている灰谷さんが実は一番優しいのではないかと思いました。 「若者は本を読まないと嘆いているやつが本を読め!」には笑ってしまいました。2015/07/24
nappa
7
たまたま手に取って買ってみたが、正解だった。迷ったときに本屋に行って手に取る本はその時の自分に必要なエッセンスを含んでいると思う。---自然は勝手に美しいわけではない。美しい自然は、それを美しいと感じる人間の心と、その美しい自然を守ろうとする人間の意志があって、はじめて存在する。----確かにその通りだと思う。2016/11/29
大泉宗一郎
4
主に沖縄の渡嘉敷島の生活について語られて、地元の方々の優しさや信頼の情などが伝わってきます。前に読んだ『わたしの出会った子どもたち』で、沖縄の人々がいったいどれほど優しくて、土地の文化を重んじ、慈しみあえるか、灰谷健次郎さんの独特の優しい筆に鋭い人間観察のメスを振るわれおり、実際に訪れたことはないものの、本作も同様に、沖縄っていいなあ、とつくづく思う。哲学、説得力に満ちていて人間的で、すぐにも頷ける心境にしてしまう。この人の小説はいつも詩情に溢れて人間を奮い立たせてくれるようで、本当に好きです。2012/01/24
ポテト
3
『出会うべき人は。きっと出会える』 『絶望をくぐらないところに、本当の優しさはない』という文章に感銘。 2011/05/17