内容説明
自分の前にかざした鏡に、後ろからもう一つの鏡をかざして写し合うと、自分の後ろ姿が見える。それを合わせ鏡という。日本人と韓国人が、合わせ鏡のようにお互いの後ろ姿(無意識の自分)を見るとき、両国は、またとない写し合わせを可能にする。接近すればするほど激しくなる日本人と韓国人の摩擦、誤解を解く鍵は、ここにあるのかもしれない。その背景を形づくる日韓の文化、社会、言葉、人間模様などを、在日経験豊かな著者が鋭い視点で綴った、好評ルポ・エッセイ「スカートの風」シリーズ、第三弾。
目次
1 大いなる小異をめぐって(日韓摩擦の根源には何があるのか;なにげない日常から)
2 文化の合わせ鏡(韓国人は「間」をとることが苦手;韓国の味と日本の味 ほか)
3 韓国の女、韓国の社会(なぜ韓国女性は美人なのか;男と女雑考 ほか)
4 儒教的世界と神道的世界(韓国の孝と日本の忠;「恨」と「もののあわれ」 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
29
日韓の比較文化を扱った3部作の最終巻。ここでは大きなカルチャーショックは感じられない。しかし日韓がお互いを知る上で姿形だけ見て似ていると思うととんでもない間違いを犯す。お互いを「合わせ鏡」の如く2枚の鏡を持って後ろ姿を見るくらいでバランスがいいようだ。このように両国を知る知識人は他国に比べ少ない気がする。貴重な人材であり今後の言動にも注目したい。しかし日本人になった著者を必要に入国拒否する韓国は大人になって欲しいものだ。2018/03/14
MIKETOM
7
シリーズ三作目。日韓の比較文化論。この作者は韓国人(当時。現在は日本に帰化)でありながら、極力公平・中立・理性的な姿勢で論じようとしている。この姿勢は好感が持てるし信用できる。呉曰く、常日頃日韓人は互いに近いと思って接するせいで、「大いなる小異」に惑わされ下手すると裏切られた的な印象を持ったりする。だから互いを異人種(例えば白人種の如くに)として接したほうが結果的にうまくいくのではないかと提案している。まあ、この本をかいつまんで紹介しようとしてもとても無理(笑)。なかなか面白いのでぜひ読んでください。2019/08/18
かしまさ
2
普通をよしとする日本人、いちばんをよしとする韓国人。ちょっとしたことのようでその違いは結構大きいのかも。2016/03/02
koheinet608
1
外国人が自分の母国語ではない言葉で、自分の考えていることを話すのは、本当に難しいです。 一度でも、海外に行って、仕事をしたり、トラブルに巻き込まれたりした方ならきっと分かってくれるはずです。 他国の文化や伝統を理解するには、その土地の言葉を学ぶのが必須です。そして、自分が育った場所のことも、学び直す必要があります。 著者が日本で、どれほど苦労したのかわかりません。ただ、著者が書いた日本語の文章からは、 外国人が他国で生きていく上での、イロハが滲み出ているように思います。2017/05/12
こうじ
0
1993年に発行された「スカートの風」シリーズの3冊目。韓国人と日本人、韓国と日本、韓国語と日本語の対比においては類似点にフォーカスされることが多いけど、お隣の国といえども外国同士ということを忘れずに差異にフォーカスすることの大切さを改めて学びました。2015/05/05