内容説明
灼熱の阿児奈波から金剛山へと舞い戻った皇子と各務は、飛鳥に激動の時代が訪れているのを知る。大宝律令の施行と上皇の死が意味するのは、壬申の乱から築き上げられたひとつの時代の終焉そのものだった。疫病が蔓延し、飢えに苦しむ人々の姿をまのあたりにした皇子は、藤原宮打倒を誓い、流民王国建設への野望を抱く。そして神との対峙をはかるが、朝廷側に立った小角からの幾つかの問いかけにより、それは他ならぬ己との闘いだという事を知る―。華麗なる異次元歴史ロマン第九弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いおむ
9
既読済みです。2019/08/15
かず
2
琉球から帰った皇子は、朝廷で帝を打つため流民となる。そしておづぬに霊力を封じられた状態で、一個人として孤独に野生を求める。キジムナーが常にそばにいて、物語が進む。帝の暗殺は失敗に終わり、次に藤原氏をねらうが、それも事をなせずに、金剛山に復帰することとなった。大きな流れの中で、何もできないようであった皇子であったが、おづぬによって行動が何かしらの影響を与えて現在の大きな流れが生まれているのだと諭される。意味のないことは何もない。挑戦し続けることに意味があるのだ。2014/06/10
黒蜜
1
面白かったです。権力の流れが皇子たちの活動の影響であるという小角の教えには多少違和感がありますが…。状況を改善しようという小さな意思が積み重なって大きな流れを生み出すって言いたいのだろうなぁと思いました。ただやっぱりホントに?とは思う。2016/01/18
ゆう
1
小角に霊力を封じられ普通の人として不比等に挑まなければならなくなった皇子。一見目的は達せなかったようだけど、『力を誇るものの心の中に、どのような変化が起こっているか、それがよめぬ。ただ形でしか判断せぬ』という言葉は胸に響く。それはそのまま人とコミュニケーションをとる際に必要なことだと言えるから・・・。2012/10/27
ペタル
1
霊力を使わずに藤原不比等を倒そうとする皇子。頑張る皇子に次々に課題を出す小角。小角の凄さが伝わりきらないうちから皇子に対しての投げかけを見ると、何様だよ!と言いたくなる。結局、平城京への遷都を促したのは日々の鬼達の働きのおかげというけれど、何か目的があってそのために頑張り続ければ何かしら影響を及ぼすことができるよ、ということが言いたかったのかな?地上編はまだもう1冊あるはずなのに、もう終わったかのような読後感だった。2010/07/23