内容説明
この町は北海道の南、歌で有名な襟裳岬に近い、牧場と漁業の町だ。町の中心から西の外れにある百戸ばかり漁師の集落に、私は夏の間だけ暮している。私の家は、その集落を守るように切り立っている草山のてっぺんにある。だから、私は「山の上のセンセエ」と呼ばれている。この町に何人かの親友が出来た。この町の隣の隣のそのまた隣町あたりにも親友が出来た。この町の素朴な人情は、センセエをびっくりさせるばかりである。そしてセンセエはそんな人たちが大好きである。
目次
山の上のセンセエ
長椅子の黒光り
シロイトの竜神さん
トクさんの八木節
屋根の上の足音は
物置小屋がありますか
神サマの八ツ当り
マグニチュード7.1
“仔馬”のママの心中事件
水道見物
エリモの爆竹男
ヨウカンの行方
ああ、あのこと…
幸福の“お手本”
いつか来たあの赤いシャツ
いつも終りはノンキな話
蟷螂の斧
無理のひとつ
熱涙
ナマコの話
戦前派
男ってなんなの
ガミガミババアの失望