角川文庫<br> 四月の風見鶏

角川文庫
四月の風見鶏

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  • サイズ 文庫判/ページ数 262p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041307212
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

花曇りの空の下に交叉する迷いと悔恨。風見鶏にたくす人生の岐路。将来を嘱望された若き医師が、大学講師の椅子を捨て、作家を志し、妻子を置いて上京、木造アパート6畳1間に居をかまえ、花曇りの4月の空を見上げて「どうしようか、帰ろうか」とつぶやく。「故郷を捨ててとか、雄志を抱いて、というのにはほど遠い、なんとなく行きがかり上、札幌にいたたまれず、東京へ出てくることになったまで」なのだが、いざとなると怖気づいてしまう青年の不安と焦燥をあざやかにとらえて胸打つ。札幌医大整形外科講師から流行作家渡辺淳一の誕生の原点をリリックな筆で自伝風に描く表題作『四月の風見鶏』。他に医師を主人公の佳作6編を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MIKETOM

10
全七編。みな地味ながらそこそこの佳作揃い。中に一編、妙に笑えるのがあったので紹介。『書かれざる脳』医学の分野には、大脳は重いほど知的(いわゆる頭がいい)人という考え方がある。もちろん統計学的な話であるが。そしてその説の権威であり重鎮でもある某博士が、死後に計測したら脳が一般人よりずっと軽かった。周囲はショックを受けるが同時に憐憫や侮蔑的雰囲気もあった。そしてその愛弟子が後を継ぎ新しい権威になるが、恩師の享年を超える頃から、自分の脳が実は軽いのではないかという心配→妄想を抱き始め行動が迷走を始める。2022/07/08

逍遥遊

4
57-03-20220917 やはり医者だったんだと。失楽園が有名になりすぎたけど、この私小説はいいね。渡辺淳一先生の脳は解剖されたのでしょうか?よき本でした。2022/09/17

まめねこ

4
リアルな医療現場の話が面白い。しかも、作者が小説家になるにあたってを描かれた「四月の風見鶏」には、納得してしまった。仲間内で近場の仲間の悪口は言っても良いけど、それを仲間外に漏らすのは良くない・・・と言う人間の性質には納得してしまった。どちらの気持ちも分かる分、不器用な人間は上手くやっていけないのだろうなぁ…と思った。医療のこぼれ話がつまったこの一冊はどの作品も楽しかった。2016/11/21

ゆつき

0
作者の医療、医師、病院関係の小説等はとても興味深く面白いと思う。2009/07/01

しーやん

0
医療に(ゆるく)関する短編7話集。毎度のように前知識なしで読み始めて1話目で実際の大学や受賞名が出て来るから「医療のエッセイ?」って思ったが創作だった。真偽は別として色々と裏側の話を教えてくれて面白かった。特にお気に入りは陸の孤島に医師を呼んでくる話。コレに関しては元ネタが無いと信じるが…終わり方が好きだった。種類は違えど人に感謝をされる仕事に従事する人間として大切な事を教わった気がする。最終的には人間性が病を治しちゃうんだよな。僕の仕事でも下手であれ人間を好きになってくれたら名工として通ってくれるもん。2019/07/28

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