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内容説明
ニュウファウンドランド島の小さな山村に、世界各国の菜食主義者の代表が集まった。しかし反対分子が紛れ込んで、祭りは一転、大論争の舞台となる。迫力の大虚構劇「ビジテリアン大祭」をはじめ、「二十六夜」「フランドン農学校の豚」など、生きるために他の命を奪わねばならぬ宿業に挑み、生きとし生けるものすべてに対する慈しみと祈りに満ちた作品。またデクノボー讃歌「虔十公園林」など、賢治の透徹した思想の神髄を伝える作品を集める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tsubomi
7
2016.06.20-06.29:表題の「ビジテリアン大祭」は世界中のヴェジタリアンやヴィーガンや反対派が集まって、菜食主義について賛成・反対の立場から白熱の議論を闘わせる話。賢治の時代にこのテーマで書いたというのはかなり斬新で未来的なことだったのではないかと思います。現代に生きる私にも考えさせられるテーマですね。他には密造酒の取り締まりや毒を使った漁業に手を染める警察官など、今まで読んだことがないダークなテーマの物語が集められていて新鮮な一冊でしたが、特に屠殺される豚の話は切なかったです。2016/06/29
もぐもぐ
4
全部で11コのお話が収録。 「原稿なし」とかで話が途切れてる部分があるお話も。 接続詞(?)が今と違っていたり、今とは違う意味で使われている感じの言葉遣いだったり、少し読みづらさはあったけど、全体的には楽しく読めた。 豚が人間と会話していたり、この罪で死刑になっちゃう!?って驚いたり。 一番気に入ったのは、フクロウの世界のお話かな。2015/06/19
M1号
4
宮沢賢治の超ダーク短編集。ベジタリアンの考えについて大真面目に世界規模で議論しちゃう「ビジテリアン大祭」、シュールでとても面白かった。他は命を奪う話が多く、気分が悪くなるほどの臨場感だったり、あまりに暗くて怖い話もあった。。特に「二十六夜」「フランドン農学校の豚」は胸がずーんと重たくなった。これ、童話って言っていいの?でも言葉の端々に見えるユーモアがさすがで、暗いのに時々くすりとしてしまう。生き物への愛と、人間であることへの問いが詰まってた。2014/05/05
にゅー
3
んー面白い。 「銀河鉄道の夜」のサソリの話でも思ったけど、宮沢賢治はどうしてこんなに動物の視点から話を書くのが上手いんだろう…。 「二十六夜」「フランドン農学校の豚」にはそれが特に出ていてすごく面白かった。 宮沢賢治の本は新たな発見ができていいなあ。 さすがに自分も菜食主義になろうとまでは思わないけど、改めて命を頂いていることに感謝しなくては。2019/01/08
miho
3
表題作は菜食主義者と反対派の人たちが議論する話なんだけど、双方、なるほどと感心したり、それは屁理屈なんじゃと苦笑させられたり、とても面白かった。賢治は菜食主義だったはずだけど、どちら側にたつわけでもなく、双方を愛をもってちゃかしてる感じ。けっこうブラックな結末のものも多くてびっくり。原稿がないものが多いのは残念。2015/03/09