内容説明
原爆を開発したアメリカは戦後、基礎科学を振興して技術を高めようとし、一方の巨頭ソ連は核・宇宙開発に力をそそいでアメリカを出し抜くなど、冷戦下で軍事科学レースが繰り広げられた。かたや敗戦国日本は、基礎科学にはカネをかけず、80年代には生産技術で世界をリードするようになったが、同じ道を東アジア諸国に急追されている。未来を展望するため、過去から何を学ぶべきか。科学史家として世界を往来しながら分析、提言してきた著者が、20世紀後半を5期に分け、「科学技術の時代精神」を解く。
目次
第1期 科学 果てしなきフロンティア―ブッシュ・パラダイムと戦後の再出発 一九四五~一九五七
第2期 ポストプートニク―科学技術ブームと高度成長 一九五七~一九六八
第3期 科学批判の時代と「エコロジーのイデオロギー」―一九六八~一九七〇年代
第4期 日本科学技術の名声と日米の技術摩擦―一九八〇年代
第5期 ポスト冷戦と「民営化のイデオロギー」―一九九〇~二〇〇〇年代
結び 世紀転換期から未来に向けて
著者等紹介
中山茂[ナカヤマシゲル]
1928年兵庫県生まれ。科学史家。1951年東京大学理学部天文学科卒業、1959年ハーヴァード大学にてPh.D.(科学史)。1989年東京大学教養学部退官。神奈川大学名誉教授。長年にわたり国際科学史学会員、科学政策研究委員会委員として活躍。1995年『通史日本の科学技術』(学陽書房)で毎日出版文化賞・特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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