朝日選書
メディアは戦争にどうかかわってきたか―日露戦争から対テロ戦争まで

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  • サイズ B6判/ページ数 359p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022598783
  • NDC分類 070.2
  • Cコード C0336

内容説明

大勝利に終わったはずの日露戦争の講和会議で、報道の力を軽視したつけがまわり、大幅な譲歩を強いられた日本。第二次世界大戦での「新兵器」ラジオを駆使したルーズベルト対ゲッベルスの熾烈なプロパガンダ戦。「テレビの戦争」といわれたベトナム戦争で苦汁をなめたアメリカが、英国のフォークランド紛争での記者対応を参考にして編み出した巧妙なメディアコントロール。湾岸戦争の多国籍軍への巨額の拠出金をあっさりと無視された日本の今なお貧弱な情報発信力…ほかに第一次世界大戦、朝鮮戦争、ボスニア・コソボ紛争、イラク戦争など、この100年間に起きたおもな戦争・紛争を網羅し、戦時におけるメディアの威力と、それを利用しようとする国家の戦略を精緻に検証、ジャーナリズムのあり方を鋭く問う。

目次

1 メディアの参戦―日露戦争・第一次世界大戦
2 新媒体の登場―第二次世界大戦前夜
3 電波が左右―第二次世界大戦
4 アメリカ合衆国の挫折―朝鮮戦争まで
5 テレビの登場―ベトナム戦争(1)
6 米国の敗北―ベトナム戦争(2)
7 英国の反攻―フォークランドの戦訓
8 メディアの敗北―湾岸戦争
9 セルビアの転落―旧ユーゴ内戦
10 「9・11」とアフガン―対テロ戦争(1)
11 泥沼化したイラク戦争―対テロ戦争(2)

著者等紹介

木下和寛[キノシタカズヒロ]
1946年生まれ。山口大学経済学部卒業後、1969年、朝日新聞社入社。東京本社社会部で遊軍や防衛庁を担当。文化企画局、ニューメディア本部、電子電波メディア局などを経て、2002年から総合研究センター(現在は総合研究本部)に所属。メディア研究担当部長、総合研究本部長補佐を務めながら『総研リポート AIR21』に論文を執筆
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Humbaba

16
かつて,戦いとは一部の人間のみが行うものであった.しかし,科学技術が発展し,情報が全国民に届くようになると,それは様変わりしてきた.国民の意見といっても,それを形成するのはマスコミであった.だからこそ,戦争に対してマスコミは強い影響力を持つようになった.2013/04/03

misui

6
二〇世紀メディア戦史。日露戦争からイラク戦争までを概観し、「戦力としてのメディア」の変遷を見る。真実を伝えるはずのメディアが国家的にコントロールされ、それぞれの陣営に都合のいいように利用されていく(日本についての記述はさほど多くない)。ちょっと衝撃的だったのがユーゴ内戦で、雇われのPR会社(!)が行ったプロパガンダによって国際世論が操作され、ほとんど戦局が決してしまう。イラク戦争などは「PRイベント」と見る認識があるそうで嫌な汗をかいた。2011/08/18

ポルターガイスト

2
新しい視点をいくつか仕入れられた。有意義な読書だった。特に後半部はこの分野に関心があればかなり楽しめると思う。ただジャーナリストの書く文章はやっぱりあんまり好きじゃない。教員が書く文章もそうだが,本という体裁にそもそも合ってない(紙面や対面授業などある文脈の中で機能するようカスタマイズされている)感じがする。 (メモ) ベトナムとテレビの関係は誇張あるかも,メディア悪玉論はベトナムのときにも,フォークランドやグレナダの成功からの湾岸,ユーゴ紛争の惨状とPR会社,対テロ戦争とアルジャジーラ→現在の不信2021/05/23

nanchara_dawn

1
戦争の際、国家にとってメディアとは、うまく使えば「戦力」となるし、下手をすれば「敗戦の原因」ともなり得る、諸刃の剣だ。本書は、日露戦争から00年代の対テロ戦争にかけて、メディアが果たしてきた様々な役割を検証していく。ベトナム戦争ではアメリカはメディア戦に敗れ、逆にフォークランド紛争や湾岸戦争においてはメディアは国家によって巧みに利用されている。また、旧ユーゴ内戦において戦況が覆ったのはアメリカのPR会社の活動によるところが大きいという。湾岸戦争以降の戦争の記述には、全ての章でPR会社が密接に関わっている。2012/07/06

東京には空がないというけれど・・・

0
メディアと伝達技術の発展を軸に、その時代における権力が、いかにメディアを操ってきたのか、いかに世論を操作しようとしてきたのかがわかる日本は政府と軍部が徹底的にメディアを規制、弾圧したのに対して、欧米はメディアが作り出す世論を操作しようとしてきた様子。特に米国は、合衆国憲法修正第1条の「表現の自由」を守りながらも、徹底的にメディアコントロールを行って、戦争や政局を有利な方向に持って行こうとしてきた歴史がわかる。 2011/05/27

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