朝日選書
塔の仏堂の旅―寺院建築から歴史を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022598721
  • NDC分類 521.81
  • Cコード C0321

内容説明

奈良や京都には、どうして何百年以上も前に建てられた古建築が今も健在で残っているのだろうか。誰もが一度は抱く素朴な疑問を解決するために、日本建築を正しく把握する方法を身につけよう。そのうえで、今も多くの人びとを引きつける寺院建築が、歴史の流れの中でどのような役割を果たしたのか、どのような意味をもったのか、を考えてみよう。古代や中世の寺院建築はどのように使われたのか、どんな人がそこで活動していたのか。そんな生きた建物の歴史を読み解くことこそ、汲めども尽きぬ古建築の魅力なのだ。私たちの身の回りにある歴史的建造物を手がかりにして、いままで見えなかった歴史の一面が見えてくるなら、こんな楽しいことはない。

目次

1 仏堂の空間と儀式―古代から近世への変遷(唐招提寺―古代仏堂の空間と中世的変容;当麻寺―伝説の地に建つ中世仏堂;照蓮寺―住宅風の空間をもつ真宗寺院)
2 塔―形・意味・技術(醍醐寺―伝統の五重塔 新来の曼荼羅;根来寺―唯一現存する中世の大塔;浄瑠璃寺―浄土庭園に立つ優美な三重塔)
3 中世瀬戸内の寺と社会(浄土寺―尾道水道に臨む中世寺院;明王院―折衷様建築の最高傑作;讃岐国分寺―古代寺院の再興と律衆)

著者等紹介

山岸常人[ヤマギシツネト]
1952年、北海道生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。文化庁、奈良国立文化財研究所、神戸芸術工科大学を経て、京都大学大学院工学研究科助教授。工学博士。日本建築史・寺院史専攻。兵庫県・滋賀県・大阪府などの文化財保護審議会委員を務める
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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六点

97
塔の旅だけあって、仏塔の様式、構造、空間論に至るまで論ぜられ、流石「塔」をタイトルのトップに持ってくる事だけはあると思わされた。六点の立ち回り圏内だけでも「安楽寿院多宝塔(近衛天皇御陵)」や「醍醐寺五重塔」などが取り上げられている。仏堂も様式論から、律宗僧侶たちによる交通路の整備や、寺院による荘園の経営に至るまでのダイナミックな姿を描き出している。「信仰の時代」と言われる中世は、「信用」を冒涜する輩を唾棄する日本人の精神性に影響を残したのではないか?そんな気がした。あ、塔の構造もすごいよ?2022/07/05

Shoji

13
古代から中世への仏堂空間の移ろい、建築様式の移ろいを歴史的側面から解説。 そんなこ難しい話は抜きにして、読み物として十分に楽しめる内容。 古寺や大寺に行くと、どうしても庭園や仏像に目が行きがちだが、視点を変えて建築物の意匠を見るのも一興。2015/11/14

chang_ume

5
内陣・礼堂など空間分化を遂げた中世仏堂を主な事例に、単なる形態論を超えた総合理解といった内容。それは建築の空間機能論であり、儀礼と僧侶集団のあり方が諸空間(内陣、礼堂、局、後戸)の構成を決定するという問題設定です。形の違いに意味の文脈を与えるような。後半は中世後期の始まりを告げる「折衷様」の瀬戸内地方仏堂から、「西大寺流律衆」のダイナミックな寺院復興活動を描き出す。それに付随する「南都東大寺系工匠」の汎瀬戸内的活動が興味深いところ。2017/12/18

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