内容説明
「僻遠の地」であった対馬や壱岐が、「珍貨充溢す」とその繁栄をうたわれたのはなぜか。“北の民”と思われてきた蝦夷(えみし)の足跡を全国的にたどることができるのはどうしてか。熊襲(くまそ)や隼人(はやと)は、はたして「平定」されるだけの人びとだったのか。各地に伝わった風土記と、『古事記』や『日本書紀』との記述の違いはどう読めばいいのか…。日本列島をたんねんに歩いて、山野河海に息づく人びとの声に耳を澄ませば、地域に根ざした歴史が浮かびあがってきた。古代より現代のほうがすぐれている、地方より中央のほうが進んでいる。そんな“常識”をいちど捨てれば、見えなかったものが見えてきた。半世紀にわたる旅と思索の蓄積をもとに綴られた「地域に勇気を与える古代史」。
目次
倭人伝の描く列島像
唐古・鍵遺跡と勾玉の容器
江南と倭人文化
ムラと村について
蝦夷私考
熊襲・隼人私考
風土記の考古学
水―神泉苑・井戸尻遺跡のこと
寺と神社でおもうこと
著者等紹介
森浩一[モリコウイチ]
1928年大阪市生まれ。古代史学者、同志社大学名誉教授
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