内容説明
120年ぶりの里帰り、失われた日本がよみがえる。武士、奥方、男児、農夫…、アメリカに眠る、モースが集めた生き人形。ペリー来航の半世紀前、輸出されていた日本製洋家具・洋食器。アメリカ人が初めて見て、触れた日本像を、数々の“もの”とともに、いま再現する。
目次
第1章 モースと生き人形(博物館の異界へようこそ;生き人形 ほか)
第2章 ペリー以前の長崎とセーラム(キー・プレイスは長崎;二つの漆盆 ほか)
第3章 アメリカに渡ったシーボルト情報(描かれた大仏;長崎出島オランダ商館 ほか)
終章 異文化理解の場としての博物館(守屋氏とセイヤー氏;東京のモース・コレクション ほか)
感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
著者は江戸東京博物館学芸員(執筆当時)。日米関係史研究のために赴任したアメリカ東海岸の古都セーラムの博物館で、エドワード・モース(貝塚の発見者)が収集した、「生き人形」と呼ばれる江戸時代の日本人を精巧に復元した等身大の人形を発見した事で、ペリー来航前後の日米の接触に関心を持つ。ペリー来航半世紀前の19世紀初頭、ナポレオン戦争によって本国オランダを占領されたアジアのオランダ人は亡命政権のようなバダビア共和国を建国し、本国の情報をひた隠しにして、日本との交易を続けていた。その海運を担ったのがアメリカ船だった。2022/05/22