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内容説明
ボン大学で教壇に立った上野千鶴子の“女性”と“戦争”をめぐる最新ドイツリポート。
目次
アルプスを越えて
イタリア人のオリエンタリズム
バブルの塔
明るいシニシズム
地方主義と連邦主義
文化は輸出できるか?
外国人の日本語教育
「日本人」論と「日本人論」
日本人は自意識過剰か?
日系企業の人事政策
クルドは近い
アウトバーンの謎
ドイツの不便、日本の便利〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
223
'90年代の初め頃に、上野千鶴子さんがボン大学に招聘された1年間のドイツでの随想記。20年以上も前だし、当時はまだEUではなく、ECの時代。もっとも、ドイツの統一は既になされてはいたが、依然として東西の格差が随所にあった頃。ところが、そんな風に時を経ていても、本書の中身は一向に古びてはいない。何故ならば、女性たちの置かれている状況は、その時も今も、そしてもっと極論するならば、さらにそれ以前とも本質的には変わらないからだ。すなわち、家事労働を当然のこととしつつ、労働力であることも求められているのだ。2015/05/20
さいちゃん
8
1991年からの一年間、上野千鶴子さんがドイツ、ボン大学で教壇に立った時の滞在中にドイツやヨーロッパで経験したことを『朝日ジャーナル』に連載したもの。激動するドイツを中心に綴られているが日本を考える材料ともなっていて勉強しながらの読書だった。中でも日本とドイツの平和運動において、日本はヒロシマ(被害体験)、ドイツはアウシュビッツ(加害体験)から出発したことで、とらえ方は大きく異なり10歳の子供ですら加害者意識を感じているという歴史教育のすごさに偉大さを感じた。2019/11/02
すいか
2
ドイツで一年間大学講師をしたときの徒然日記のような書籍でした。異国の中で日本人であること、女性であることの認識を深めていく日々の過程が面白くもあり考えさせられた点でもありました。同じ敗戦国であっても、ドイツは、ナチズムとして多くの犠牲者を出してしまった贖罪の想いが強いのに対し、日本は原爆被害者としての被害者意識のほうが強いという言葉にハッとさせられました。やはり一度は訪れてみなければ。2019/07/14
ゆみりん
1
東ドイツの女性は大変だった。現代日本の母親だって大変。まわりも協力しなくては。2016/10/23
Chihiro
1
20数年前に発行された、上野先生によるエッセイのような東西ドイツや「ヨーロッパ(当時はまだEC)」のレポート。今なお痛快だし、演奏家になってみたかったとか、温泉が好きだとか、そんなエピソードにも触れられて嬉しく思った。戦争での加害体験を踏まえた歴史教育というのは、どのようなものなんだろう。心理療法師の著作と対峙している部分も印象に残った。2014/04/19