出版社内容情報
史上最も多くの国が批准し,画期的意義をもつこの国際条約を,日本の現状の中でどう読み,権利の確立に向けてどう進むべきか.条約の内容と精神を条文ごとにやさしく解説.1冊でまるごとわかる便利なハンドブック.
内容説明
史上もっとも多くの国が批准し、画期的な意義をもつ「全世界の子どものための大憲章」。子どもの権利を確立し、大人の社会をも変えていくために、この条約をいかしていく主人公は、みなさん自身です。条約の内容と精神を条文ごとにやさしく解説、一冊でまるごとわかる便利なハンドブック。正文(英語)とその対訳付。
目次
前文 「子どもの権利条約」が成立するまで
第1条 人類にとっての「子ども」―子どもの定義
第2条 教室の中の人権宣言―差別の禁止
第3条 ベスト・インタレスト―子どもの最善の利益
第4条 権利は実現されるためにある―国の実施義務
第5条 親の立場と子の立場―親の責任と権利と義務
第6条 命どう宝―生命、生存・発達への権利
第7条 名前にあらわれた子ども観―名前・国籍・養育の権利
第8条 わたし、を生きる―アイデンティティ
第9条 親子だんらん、水いらず…―親子の分離〔ほか〕
著者等紹介
中野光[ナカノアキラ]
1929年愛知県生まれ。東京文理科大学卒。桐朋小学校、金沢大学、和光大学、立教大学を経て、現在、中央大学文学部教授。専攻は教育学
小笠毅[オガサタケシ]
1940年徳島県生まれ。立命館大学卒。遠山真学塾主宰
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スイ
12
子どもの権利条約全文と、各条ごとの説明が書かれていてとても丁寧。 説明も当たり障りない抽象的なざっくりしたのではなく、具体的で筆者の熱意が伝わるもので良かった。 しかし、この本が刊行された時よりも、日本とここで暮らす子どもたちの状況が良くなっているとは思えないのが悲しい。 十代向けだが、大人こそ知るべき。2020/10/24
肉尊
3
子どもの権利条約を1条ずつやさしく丁寧に解説。オウム事件や校内暴力、いじめなど90年代の世相を背景に述べられています。読んでみて感じたのは、これって子どもの保護条約なんじゃないかということ。あくまで大人社会と共存するための最低限の取り決めであって、子どもの主体性はない。学ぶ自由、遊ぶ自由、習い事を選ぶ自由など子ども視点で捉えた宣言があってもいいかなと思いました。2016/08/11
Takao
2
1996年5月20日発行(初版)。子どもの権利条約については、採択後から何冊も本を買い、講演会などでも勉強した。本書はその頃求めたものか。部分的には目を通したことはあったが通読は初めて。本文211頁に加えて、巻末に英語正文と日本政府訳の対照条文が53頁。英文の条文を訳そうという無謀な意気込みが27年も経過した原因か(結局和訳は諦めたが)。27年の時が「解説」の古さを感じさせる部分もあるが、この種の文献は中高校生にとって必要。改めて読んでみて、乳幼児を養育する親・保育者への「解説」も必要かなと思った。2023/02/03
U-Tchallenge
1
子どもの権利条約について改めて学びたく手に取ってみた一冊。条約の内容について、わかりやすくなるよう詳しく説明されている。説明と言っても条約のことだけではなく、条約に書かれていることに関連することまで言及されていた。条約についてはもちろんのこと、それに取り巻く事柄についても考えることができた。子どもの権利条約について知りたい者にとっては、まず手に取り読んでみてもらいたい一冊である。2022/09/10