出版社内容情報
東洋と西洋のあらゆる知を総合しようとした明治の博物学者南方熊楠(みなかたくまぐす).郷里の和歌山に発し,東京,アメリカ,イギリスにわたる青春時代を日記や手紙,スケッチなどを手がかりにたどり,その生きざまを浮き彫りにする.
内容説明
東洋と西洋のあらゆる知を独学で総合しようとした型破りな明治の博物学者、南方熊楠。郷里の和歌山に発し、東京、アメリカ、イギリスにわたる、彼の青春時代の研鑽と放浪の旅のあとを日記や手紙、スケッチなどを手がかりにしてたどる。好奇心にみちた、真剣にして奔放な生きざまが、今甦る。
目次
序章 19歳の船出と出会い
1 和歌山城下に生まれて―好奇の目を輝かせた少年
2 博物学への傾倒―旧制和歌山中学のころ
3 東京遊学前後―学校教育での挫折
4 修学と放浪―アメリカでの六年
5 研鑽と失意―イギリスでの八年
終章 熊野の山野を駆ける―帰国以後の熊楠
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rokoroko
6
南紀旅行の記念にこの方の事を知らなくちゃ。と読みました。今でいうと「さかなくん」のような、学校とかの枠にはめられない学問好きだったのね。あの時代に破天荒な生き方ができたこと、学問を続けられたことで南方家が被った金銭的、精神的負担について知りたく思った。2016/11/29
Mentyu
4
南方熊楠の出生から熊野へ帰郷するまでの約30年を詳述している。ただし、帰郷以降についてはざっくばらんとした紹介に留まる。岩波ジュニア新書である以上、南方熊楠の青少年時代が話の中心となったのだろう。もっとも、南方の博学と奇人っぷりを示すエピソードは青年時代でも変わらず、愚直な研究心とある種の攻撃性が同居した強烈な人格は良くうかがい知れる。生前からして半生が伝説化していた点など、同時代人からしても特異な人物だったのだろう。2018/07/10
はにゅ
2
破天荒な知の巨人の10代、20代の頃を赤裸々に紹介してた。自意識の高さや挫折についてもちゃんと描かれているあたり、ジュニア新書に置くべき本なのです。それだけでなく、90年代の南方ブームの評価や今なお整理されている資料の状況、またもっと知りたい人への文献紹介もあるあたり、大人でも十分読み応えがある一冊。2014/06/12
Bartleby
2
熊楠の破天荒さはこの本では伝わりにくいけど、熊楠の葛藤や迷いについて詳しく書かれていてこれはこれで面白かった。他の伝記も読みます。2011/04/15
misui
2
日本に来たラフカディオ・ハーンに続いて日本から出た人物を、と思い選んでみた。十代から二十代にかけての記述が多く、勉強して採集して酒を飲んで喧嘩して勉強勉強ずっと勉強、というのはちょっと退屈に感じた。研究者に華美を求めるのはどうかと思うが物足りない。後半生のことなどもう少し詳しく知りたい。2010/11/09