岩波新書
タイ 開発と民主主義

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  • サイズ 新書判/ページ数 224,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004302988
  • NDC分類 302.237
  • Cコード C0222

出版社内容情報

「日本の台所」として焼き鳥,エビなどを輸出し,「東南アジアの優等生」として王制のもと国づくりを行ってきたタイ.気鋭の経済学者が,独自の「民主主義」,NIES諸国とは異質の経済発展にともなう開発の功罪,激変する社会環境に迫る.開発と民主主義の両立という,途上国が直面している難問解決への糸口を提示する好著.

内容説明

「日本の台所」として焼き鳥、エビなどを輸出し、「東南アジアの優等生」として王制のもと国づくりを行ってきたタイ。気鋭の経済学者が、独自の「民主主義」、NIES諸国とは異質の経済発展にともなう開発の功罪、激変する社会環境に迫る。開発と民主主義の両立という、途上国が直面している難問解決への糸口を提示する好著。

目次

序章 「開発」と「民主主義」
第1章 開発体制の誕生
第2章 民主化運動と流血のクーデタ
第3章 「上からの民主化」と軍部
第4章 NAIC経済からNIES経済へ
第5章 アグリビジネスともうひとつの開発
第6章 社会変動と五月流血事件
終章 再び開発と民主主義について

著者等紹介

末廣昭[スエヒロアキラ]
1951年鳥取県に生まれる。1976年東京大学大学院経済学研究科修了、同年より87年までアジア経済研究所でタイ経済研究を担当。1981年から2年半、同所海外派遣員としてタイ国チュラーロンコン大学に滞在。大阪市立大学を経て、東京大学社会科学研究所教授。経済学博士。日本タイ学会会長。専攻はタイ経済史、アジア経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Kei

11
以前留学していたタイについて。「タイの政党は国民各層の利害を真に代表する組織ではなく、私利私欲に走る利益集団でしかない。政党政治は社会に腐敗と混乱を招き、それどころか共産主義勢力の拡大さえ引き起こしている。だから、タイにとって望ましい「民主主義」とは、国王を元首とし、政治指導者(つまり軍)が国民の主権と利益を代表して国を統治する体制でなければならない」(12頁)。2016/07/05

Ucchy

1
1950年代から90年代のかけてのタイの政治変動、経済を「開発」「民主主義」を切り口に描く。タイ社会について著者が実際に視察した経験なども交えた、掘り下げた内容。サリット政権は「タイ式民主主義」という主張の元、軍部主導で、経済開発、教育を推進。その後プレームの調整型政治を経て、民主化に向かいつつあるものの、政党政治を利権政治につながるものとして、軍がこれをクーデターによって「正す」というモーメントも依然として存在し、最後は国王の権威のもとに何とか収拾し、タイの政治は進み続けている。読み応えのある名著。2021/08/12

Sosseki

1
20年も前に書かれたもので、タイではクーデターが繰り返されてきたことは分かったが今回のタイのクーデターとのつながりはさっぱり分からなかった。エビの養殖・鶏の加工品等で日本への食料供給が始まったころの話は、環境破壊や、水資源の争い等引き起こしていることを知った。2014/05/28

いま

0
90年代はじめまでのタイ政治史について書かれている。クーデタの連続の中でなにが目指されたのか、開発のあり方はとのようなものか、タイにおける民主主義とは何かが少しわかった気がする。2016/04/02

ひろ

0
第二次大戦後のタイ近代史を読み解く良書。 植民地支配を受けず、歴史的な外交得手に加え、勤勉な国民と豊富な資源、自然環境を有しながら、もう一歩日本に遅れるのには、伝統的宿命的な政治腐敗の構造があった。戦後の混乱を思えば、日本も同じ泥沼に堕ちてもおかしくなかったから、その一歩をようやく踏みとどまったということだろう。その意味では、あの時代の日本人の倫理観をもう一度見直すべきに違いない。2012/07/23

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