出版社内容情報
日本列島誕生のシナリオは，まったく新しいものに書き換えられた．それは，深海での化石の研究とプレートテクトニクスに基づくダイナミックな地球観から生み出された．日本列島形成の謎に挑戦し，それを解きあかしてきた著者らの研究の歩みをたどりながら，劇的で知的興奮をさそう日本列島誕生の物語に読者を案内する．
内容説明
日本列島誕生のシナリオは、まったく新しいものに書き換えられた。それは、深海での化石の研究とプレートテクトニクスに基づくダイナミックな地球観から生み出された。日本列島形成の謎に挑戦し、それを次々と解きあかしてきた著者らの研究の歩みをたどりながら，劇的で知的興奮をさそう日本列島誕生の物語に読者を案内する。
目次
１ 南海トラフで何が起こっているか
２ 四万十帯の謎を解く
３ 日本列島の土台
４ 奇妙な岩石からアジアへ
５ 日本海の形成と列島の成立
６ 日本海拡大後の日本列島
７ 日本列島の誕生をたどる
８ 新たなる挑戦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
50
読友さんの紹介。SF「華竜の宮」の理論的根拠としてプレートテクトニクスによるダイナミックな大陸移動は知っていたが、所詮SFの話と身近に思っていなかった。しかし、今、私がその上にいる日本列島やよく行く丹沢が舞台だと切実感がある。日本列島の最も古い岩石は4億年前の南半球のもので、そこから移動してきた。北海道東部はオホーツク海から衝突してきた。伊豆半島が衝突してその前に衝突した丹沢が盛り上がって今の丹沢山地となった。だから丹沢の岩石は海で出来たもの。単にその場で山が盛り上がっただけではないのだ。興奮続きの叙述。2016/02/16
おおた
19
蘚苔類に興味を持ってもうすぐ1年。調べてみると特定の岩にしか生えない苔がいるとかで、実際に観察にいっても確かに岩を選んで生えていたりする。そもそも岩とは、地層とはなんぞや、ということが知りたくてひもといた本書は、しっくりとその謎を解決してくれることはなかった。しかし、日本という陸地がどのように形成されたか、専門用語は多いものの丁寧に説明してくれる。四国の四万十帯という特徴的な地層から、日本という特殊な地形の成り立ちを解き明かす5章以降は、良質なミステリの謎解きを読んでいるかのような爽快感さえ。2015/11/30
KEI
18
新聞の自然災害に関連した本を紹介した書評を読んで図書館本。日本列島の誕生の経緯を著者やその他研究者の知見に基づいて書かれてある。地質学は全くの門外漢なので、大まかな点しか理解できていないが、それでも驚く事、新たに知り得た言葉が多かった。近年よく耳にするプレートの沈み込み等を含めた、プレートテクトニクス、古地磁場で本来の岩盤の生地を知ることが出来る。磁場は逆転していた事実！付加体の形成と列島の成り立ち。25年を経て、既に新たな知見が加わった事だと思う。CG等で映像化した番組は無いのだろうか？2015/10/20
ぽんくまそ
12
先日いま住んでいる北海道がプレートテクトニクスで合体ロボのようにできあがっていく様を書いた本を読んだので、もっと複雑な日本列島全体について書かれたこの本を再読する。前回読んだときは興奮しすぎてあせり読みしたので、今回は後ろから前へじっくり読み、年表と合体図を頭に入れ直す。この壮大なロマンに著者の締めのことば「素晴しき日本列島に乾杯」に「乾杯」と唱和しよう。右翼思想に夢中になっていたやつに、日本を愛するべきというならこの本を読めよ、と薦めたことがあったけど、けっきょく読まなかったな、あいつ。2016/02/07
ぽんくまそ
10
これは、地球の小さな片隅である高知県中部海岸の地質の謎解きが、進歩する科学調査を使って二転三転しながら、日本列島さらには、最後には地球全体の地表のダイナミズムを説明するまでにいたる、壮大かつ、きめ細かいノンフィクションの推理ストーリーである。私が高校生のときには、地学の教科書でまちがった「地向斜説」を教えられたものだが、この本の「付加体説」によって、木っ端みじんに砕け散った。そのダイナミズムを知れば、この複合プレート境界の日本列島が原発（原爆材料生産工場）に耐えるものではないことは自明であろう。2013/08/04
