出版社内容情報
ここに収められたものは,野良から,炭焼小屋から,戦場に駆りたてられ,尊い生命を失った農民兵士たちの便りの数々である.「国のため,君のため」というきびしい軍律のかげに,ふるさとをしのび,農作業を心配し,親はらからの身を気づかう真情が綴られたこれらの手紙は,あらためて戦争の悲惨さと恐しさを私たちに訴える.
内容説明
ここに収められたものは、野良から、炭焼小屋から、戦場に駆りたてられ、尊い生命を失った農民兵士たちの便りの数々である。「国のため、君のため」というきびしい軍律のかげに、ふるさとをしのび、農作業を心配し、親はらからの身を気づかう真情が綴られたこれらの手紙は、あらためて戦争の悲惨さと恐しさを私たちに訴える。
目次
鍬を棄てて
営門の中
戦線にて
土のきずな
死への行軍
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
9
◆1961年刊。岩手県出身者を中心とした農村出身兵士の家族宛の手紙、日記、遺書等を集めたもの。◆エリート階層出身者による文章との異なり。農村生活の厳しさに相対しての軍隊生活・教育の有難さもそこここに(その点、あとがきの内容に留意)。また修辞や歌、かなり内省的な書き味の文章もあり、簡単に非知識階級出身者の文章などと一括できないが、これもあとがきにある通り、一方で型通りの文章や誤字脱字の多い文章は除けてあること、検閲を逃れた手紙が採録されていることも考慮。◆二つの軍隊社会観についてはこれからも考え続ける必要。2020/09/20
mimm
8
高学歴の”学徒兵”の手記と違い、素朴で素直に戦争に身を投じているような気もするけど、やっぱり検閲がある以上それが100%本心とは思えないような(後書きを読んで)。中盤の日記の抜粋が、当時の状況をより鮮明に伝えていて、思わず夢中で読んでいました。硫黄島にいることをどうにかして伝えようと、宛名に隠した手紙の手法もすごく切ない…。農民ということもあり、自然をより身近に感じたり家族により心を寄せている点など、”学徒兵”の手記とはまた違った感じで、こういう本ももっと読んでみたいです。2012/02/16
シンドバッド
4
散逸を免れた手紙。心に刻み、伝えたい。2013/05/24
VC
3
当時の農村に比べれば軍隊生活は結構楽な生活だったようだ。それに、中国とかで農村の暮らしを見て、家を思い出す人も多い。それにしても作者不明の軍医への訴えが少し不気味「グンイドノハヤクアゴヲツケテ下サイ、ミンナト一ッシヨウニゴハンヲタベラレルヨウニシテ下サイ タンヲトッテ下サイ ダンヲトッテ下サイ クチノナカノチヲフイテ下サイ モウネリタクナイ ヒトリデ小便マリマス デベンキカシテ下サイ スマナイカ角ザトウヲ一ツ二ツモラッテクレナイカネ(一部略)」2012/11/08
青木潤太朗
3
いわゆる「執筆業」ではない当時の方々の、書記や手紙をまとめたものです。生々しく状況や時代が伝わってくるようで、資料等としても貴重ではないかと想います2011/05/28