出版社内容情報
禅は日本人の性格と文化にどのような影響をおよぼしているか.そもそも禅とは何か.本書は,著者が欧米人のためにおこなった講演をもとにして英文で著わされたものである.一九四○年翻訳刊行いらい今日まで,禅そのものへの比類なき入門書として,また日本の伝統文化理解への絶好の案内書として読みつがれている古典的名著.
内容説明
禅は日本人の性格と文化にどのような影響をおよぼしているか。そもそも禅とは何か。本書は、著者が欧米人のためにおこなった講演をもとにして英文で著わされたものである。一九四〇年翻訳刊行いらい今日まで、禅そのものへの比類なき入門書として、また日本の伝統文化理解への絶好の案内書として読みつがれている古典的名著。
目次
第1章 禅の予備知識
第2章 禅と美術
第3章 禅と武士
第4章 禅と剣道
第5章 禅と儒教
第6章 禅と茶道
第7章 禅と俳句
著者等紹介
北川桃雄[キタガワモモオ]
1899年‐1969年。1924年京都帝国大学経済学部卒業。1941年東京帝国大学文学部美術史科卒業
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感想・レビュー
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とも
57
とても感動した。分からない部分も多かったので、Kindleで意味を調べながら、今後じっくり読み込んで行きたい。 読むだけで心が落ち着き、日本のよいところ、自然の素晴らしさに目が行くようになる。2024/04/03
うえぽん
38
昭和15年に原文の英語から訳された日本文化論の古典。太平洋戦争直前期に出版されたことも驚きだが、外国人のために書かれた本であるが故に、予備知識なくとも日本美術、武士、剣道、儒教、茶道、俳句のあり様に禅が果たした役割を明快に理解できる良書。精神に焦点を置き、形式を無視し、孤絶に至って到達する無意識や悟りが禅だと理解。和・敬・清・寂の四要素を本質とする茶の湯や、論理性や哲学性を持たずに最深の真理を直覚的に掴み、表現する俳句が、禅といかに密接に関連しているかを知り、日本人としての余生のあり方を再考するに至った。2024/01/27
十川×三(とがわばつぞう)
34
良書。禅,茶の湯,俳句など幅広く勉強になった。▼仏教を離れて日本文化を語れない▼わび・さびの説明▼時代を超えた面白い挿話の数々。土佐の茶人の死の覚悟の話。剣術師匠,鍋の蓋の話。木コリと"さとり"という動物。荘子と蝶。スペイン一流闘牛士の無心。▼弟子村正の刀は落葉を見事に切った。しかし落葉は師匠・正宗の刀に対しては避けた。2023/04/22
ミッキー・ダック
30
禅が日本文化の形成に果たした役割の論考で、1938年に英語で書かれた外国人向けの原書の訳書。なぜ中国でなく日本で禅が国民的な広がりを見せたのかという歴史経緯については良く分かったが、日本文化のどこが禅的なのかについては禅に関する知識不足のため難しかった。ただ日本の美術・武士道・剣道・茶道・俳句への影響を知ることで禅の凄さと日本文化の奥深さを知ることができ、もっと良く理解したいという思いを強くした。分からないながらも素晴らしく感じたのは、剣道における「無心」の重要性を伝えた沢庵和尚の柳生但馬守への書簡。 2016/04/18
Gotoran
25
鈴木大拙著書、2作目。今回も逆翻訳、戦前(1940年)に出されたもの。禅と日本文化(美術、武士、剣道、儒教、茶道、俳句)との関り合いについての解説。読者に外国人を想定していることから、非常に噛砕いた説明で読み易く、禅の体系、概要把握には最適の書ではないか。禅を知ることは、古の日本人のこころを知ることに他ならず。日本文化の美意識・思想(わび、さび、幽玄、みやび)の一端を知る。禅とは、自己意識、知性を限りなく分解・解体していく中で導かれていく無意識への回帰か。禅とは、“Don't think,Feel.” 2012/04/28