出版社内容情報
日本の近代化を推進した大隈重信(18381922)の回顧談から自伝的な記述を編集・収録。幕末佐賀藩における少壮時代、新政府での活躍、征韓論政変、東京専門学校の創設などの回顧から、当時の政情と政策決定の裏面が浮かび上がる。
内容説明
日本の近代化を推進した大隈重信(1838‐1922)の回顧談から自伝的な記述を編集・収録。生い立ち、幕末佐賀藩における少壮時代、空理空論を排して「活学」を志向した青年期、新政府での活躍、征韓論政変、政界からの「追放」、東京専門学校と立憲改進党の創設などの回顧から、当時の混沌とした政情と、政策決定の裏面が浮かび上がる。
目次
1 生立ちから征韓論政変まで(少壮時代の教育と境遇―書生時代の事情;生立ちと義祭同盟;形勢一変と藩主閑叟 ほか)
2 東京専門学校開校前後まで(台湾出兵と西南戦争;開化政策の推進と明治十四年の政変;東京専門学校と立憲改進党の創設)
3 過去を顧みて―追懐談・追懐文(我輩は慈母によりて勤王家となる;余は如何に百難を排して条約改正の難局に当りたる乎;爆弾当時の追懐 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
95
早稲田大学を作った政治家・大隈重信の自叙伝。意外なほど面白かった。一般的な幕末維新史では薩摩長州土佐は大活躍だが、肥前佐賀藩はそんなに活躍した様に思えないのにいつの間にかこれらに並んでいるのが不思議である。この本にはそんな佐賀の幕末がある。大隈重信は鍋島閑叟を奉じて一藩勤王を目指しており(これは武市半平太と一緒)、慶喜に会って大政奉還を進言しようとしたり(失敗しているが)、勝海舟にも会っている。大政奉還が成ったと同時に長崎で外人と交渉したり、戊辰戦争の費用の為に四苦八苦している。これはこれで格好いいのだ。2018/06/06
キョートマン
12
激動の時代を生きたことがひしひしと伝わってきた。語尾が特徴的で面白い。勝手に大隈は福沢諭吉と仲が悪いイメージを持ってたけど実際は仲良かったのか...2021/02/28
Ohe Hiroyuki
2
幕末、明治、大正と我が国の表舞台に立ち続けた大隈重信の自叙伝である。生誕180周年を期に母校早稲田大学編にて出版された。▼佐賀藩に生まれる大隈の青年時代、明治時代参議として名を馳せ、やがて中央から追放され、早稲田大学を創設し、政党に取り組み、やがて総理大臣となった波乱万丈の人生が描かれている。▼生き残った人間の発言は重い。私個人としては、大隈重信が資金調達と外交の任を担っていたくだり(Ⅰー7~9)、政党政治を語るくだり(Ⅲー4)が興味深い。文語体で書かれ、歴史の知識がないとやや読みづらいかもしれない、2018/08/19