出版社内容情報
人間の意志を本質意志と選択意志に区分し,この二典型に対応して社会を実在的有機的生活としてのゲマインシャフトと,観念的機械的構成体としてのゲゼルシャフトに区別して社会生活の根本問題を分析する.この方法で十九世紀における合理主義と歴史主義の対立の綜合克服を試みたところに本書の特色がある.
内容説明
テンニエスは人間の意志を本質意志と選択意志に区分し、この二典型に対応して社会を実在的有機的生活としてのゲマインシャフトと観念的機械的構成体としてのゲゼルシャフトに区別して社会生活の根本問題を分析する。19世紀における合理主義と歴史主義の対立の克服綜合を試みた社会科学における不滅の書。
目次
第1篇 主要概念の一般的規定(ゲマインシャフトの理論;ゲゼルシャフトの理論)
第2篇 本質意志と選択意志(人間の意志の諸形式)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「願望や目標はすべて、選択意志の主体によって作りあげられたもの…すなわち仲間に対して友好的または敵対的であることが自分の追及に役立つと考えるならば、彼は仲間に対して友好的または敵対的態度をとりやすいし、彼の気分が不安定になる場合には、克服されなければならないような偏見に抗することはますます困難となる。そこで追及する者は、現実と同様な結果を有しうるような虚偽ならばどんな虚偽でも躊躇することなく使用するのである。真実のことを言えば台なしになってしまうようなことが、しばしば嘘によって救われる。」2021/05/12
てれまこし
6
他のドイツ知識人と同様、テンニエスは台頭する市民(ブルジョア)社会を不自然、虚偽なものとして嫌っている。それで家族や農村の「自然な」共同体としての意義を強調する。そこが後の保守反動派に喜ばれたのだが、テンニエス自身の位置づけは微妙である。ゲゼルシャフト批判は明らかにマルクスの影響を受けているし、社会主義に同情的であり、民族主義や芸術至上主義には一貫して批判的である。違うのは、テンニエスにとっては国家は「共同体」ではなく「社会」であったのに対し、右翼思想は共同体概念を国家と結び付け、家族や農村の延長とした。2019/02/02
古川
5
この上巻はもう何年も前に買ったのだが、なんか小難しいのでずっと積読にしていた。プラトン、アリストテレス、カント、スピノザ、マルクスと一通り読んだ現在、再読してみたら難なく読めてしまった。やはり順序は大切ということなのだろう。2016/12/26
KAZOO
4
副題は純粋社会学の概念となっていますが、筆者のいた時代より若干さかのぼったドイツの社会経済体制の分析を行ったものです。内容的にはそんなにあまり難しいとは感じないのですが、日本語訳が若干漢語的な感じで書かれているためにことさら難しく考えられるのかもしれません。上巻はゲマインシャフトとゲゼルシャフトの概念がわかるようになっています。2013/11/13
ちゅん
3
社会の構造を説明する書。血のつながりが強い組織ゲマインシャフト、血のつながりは弱いが目的をもった組織ゲゼルシャフト。上巻ではこの基本概要を説明しています。面白いですね。2017/12/11