出版社内容情報
合理的・現実的にして個人主義的な教育を論じ，近代の教育思想を確立したといわれるロック（一六三二‐一七〇四）の名著．健康管理やしつけから海外旅行のことまで子供の日常の問題をやさしく説いた彼の教育論は，『エミール』に受けつがれ，今でもパブリック・スクールの鍛練主義やオックスフォードの個人指導制という形で生き続けている．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ～
8
1693年。ルソーよりも結構前か。かなり実践的な教育手法について。ラテン語、ギリシャ語の「鞭による」詰め込み教育を批判し、まずは英語できちんと話せるようになることが一番重要だとする。その上で、ラテン語、そしてフランス語を家庭教師との「会話」を通して学ぶべきだとする。文法教育を否定し、母国語と同様の手法で幼少期に外国語を学ぶべきだとするのは、むしろバイリンガル教育というべきか。17世紀ではまだ英語を使うだけでは「紳士」として国内においても不十分だった。貴族の子弟を対象にし、身分制への疑問は一切見られない。2016/03/06
モヵ
1
♥♥♥だいぶ古い本なんだろうけど、今まで何十冊と読んできた育児本に共通した主張がガツッと濃縮されている。これ一冊読めば相当親力あがると思う。ただ、翻訳ひどすぎ。何言ってるか全然わかんなくて何回も読み返したりしたよ。ほんと読むの疲れた。2018/06/21
ポン
0
子育て、しつけに関してのノウハウが大半を占めていたような感じで、賛成できる点もあれば、ん？と思うような点もあった。全体的に、読んでて楽しかった。2017/11/07
ppp
0
『人間知性論』で語られる人間本性に即して、どのように子供を「紳士」に育て上げるかについて考察される。イギリス経験論がしばしば含意する自然主義的な人間観をベースとすると、もはや自然的ではない人間像が目的とされる教育は、（自然主義を超えた規範に触れる意味で）論理的にスリリングな点があるが、本作は、『人間知性論』と絶妙な距離感を有しており、難点はあまり強く感じなかった。必要な観念を強く心に刻印すること、習慣によって人間本性に原理を組み込むことは、ありふれたものとはいえ、現代でも着目するに値するように思われる。2013/01/11
ヒデアキ
0
ジョン・ロックがエドワード・クラークあてにテーマ毎に教育を論じた書簡をまとめた論文。紳士教育に必要な知識、教育プログラム、伴走者の振る舞いという目的に沿い体系立てた記述が目立つ。経験知による属人的な教育慣習にメスをいれ、理性に基づき体系だった教育指針を構築することを信じたロックの意志が随所に見られる。2023/03/25
