出版社内容情報
北欧の科学者アーレニウス(1859‐1927)は,宇宙の創造・生成・進化・滅亡等に関する人間の観念が,諸種の原始民族の間に発生し成長し,幾多の紆余曲折をへて今日にいたる宿命的経路を,文学的にしかも科学的に克明に展開してくれる.北欧の神話,インドの伝説,日本の物語等の詩文にはじまり,近代の天文学的宇宙論にいたる科学史である.
感想・レビュー
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ダージリン
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物理化学の分野で偉大な業績を上げたアーレニウスの著作で翻訳者が寺田寅彦という贅沢さ。古代の宇宙観から、時代を下ってどの様な変化があったかを語っていく。科学史の本で太陽の燃料は何かが謎だったという記載は良く見るが、そのこともテーマの一つになっている。これが書かれた時点では核融合は知られていないが、核分裂で大きなエネルギーが生まれることは明らかになっており、何らかの核エネルギーを想像していたことは窺える。それにしても古い時代は宇宙観と科学観、宗教観が近接しており、ここに文明の特色が如実に表れるように思う。2018/10/20