出版社内容情報
さまざまな種類の動物や人間の表情について,解剖,宗教,言語,心理学など諸方面からの多数の観察例をもとに動物から人間までを進化論的に論じた著作.表情の研究としても貴重な文献であり,比較心理学・動物心理学の先駆をなす.「種の起原」の生物進化の法則を人間に適用した「人間の由来」に続いて1872年に発表された.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
68
「「種の起原」の生物進化の法則を人間に適用した「人間の由来」に続いて1872年に発表された」。「さまざまな種類の動物や人間の表情について,解剖,宗教,言語,心理学など諸方面からの多数の観察例をもとに動物から人間までを進化論的に論じた著作」で、門外漢の吾輩からしても極めて野心的な試みと感じる。2021/01/13
roughfractus02
7
仮説は可謬性を前提とし試行錯誤的に進む。著者の表情に関する仮説には現代では誤謬とされることもある。動物やヒトの身振りが遺伝するという連合的習慣の原理での、習慣の遺伝なる考えは現代では受け入れ難い(本書では他に伝達する際に反対の感情に両極端な姿勢を作る=反対の原理、痛みが汗を伴う=神経系の構造による動作の原理がある)。が、この3原理から動物やヒトの表情を検討する著者が、ヒトの歌を鳥の求愛の鳴き声から、ヒトの赤面を性淘汰から捉え、それらが普遍的なら人種は本来一つであると仮説する時、可謬主義は深い洞察に変わる。2017/09/13
いきもの
5
旧字体。進化論的、あるいは解剖学的な側面からの人間の表情について。犬猫猿から始まり人間の各種表情を考察。現代でみれば的外れな議論も多々あるけど当時の情報から組み立てられた論として面白い。理論的な書であると同時に、ある意味歴史的な書。2022/06/08
kazutox
4
日本語で入手できるダーウィンの著作を全部読む、を目指しています。本書は1872年刊で『人間の由来』の翌年。翻訳は戦前のもの。『種の起源』『人間の由来』と同じく、膨大な事例を挙げて理論を証明しようとするスタイル。その理論は今から見るとだいぶ間違ってると思われますが、それよりダーウィンがどういう目的でこの本を書いたのかよく分からない。たぶん、表情という人間らしいものも機械的なメカニズムで説明できる、ということなんでしょうが、そこがはっきりしないので少しもやもやしました。2023/12/20
シンドバッド
4
20年以上積ん読 現在の科学的研究からの評価は、全くわからないが、面白く読みました。2014/08/06