出版社内容情報
原題は「哲学において著名な人々の生涯およびその学説」といい,全部で八十二人の哲学者をとり上げる.ソクラテス,プラトン,アリストテレス,ピュタゴラス,エピクロスなどが登場.この種の文献のうち現存最古の貴重な史料であるとともに,ふんだんにちりばめられたエピソードが無類の読み物となっている.
内容説明
古代ギリシアの著名な哲学者82人の生涯と学説。本巻にはアリストテレス、ディオゲネス、ゼノンなど22人が登場する。ふんだんにちりばめられた挿話と「ことば」が断然面白い。「教養は順境にあっては飾りであり,逆境にあっては避難所である」「幾人も友人をもっている人には一人の友もいない」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
111
ちょうど論理学の本を読んでいたので、本巻はグッドタイミングであった。というのも、本書は、アリストテレスからはじまる。広義の意味におけるスコラ派と呼ばれる哲学者の紹介が中心であり、彼らが思考したスコラ哲学が、かなりのページをさいて紹介されているからである。アリストテレスは、『百科事典の父』と称されるほどの分類魔。彼のあとに続く哲学者は、それぞれの道を志向する。たとえば倫理学や論理学。天文学から幾何学と多岐にわたって枝分かれしていくからである。その中で、ディオゲネスは異彩を放っていて、とても興味深い人物だ。2015/03/21
南北
45
アリストテレスとその後継者たち、ディオゲネスなどの犬儒派、ゼノンなどのストア派の事績だが、哲学者たちの言葉でなるほどと思えたのはアリストテレスだけで、分量としては多いディオゲネスとゼノンの挿話は変な人たちとしか思えなかった。ルキアノスの「空飛ぶメニッポス」に登場するメニッポスも掲載されているが、日歩で金貸しをしていたという意外な一面が見られたのは楽しく読めた。2022/02/24
壱萬弐仟縁
17
アリストテレスの章。希望とは「目覚めている者が見ている夢」(26頁)。逆説的だが、夢や希望なくして人間は目標も立てられない。「人生の究極目的の一つは、全うされた生涯のなかで徳を現実に活用していること」(40頁)。徳の大切さ。アンティステネスの章。いろいろと学ぶことがあるなかで、いちばん必要なこととして、「学んだことを忘れないようにすることだよ」(114頁)と。僕は記憶力はよくないので覚書が肝要。ゼノンの章。「健康は、理性によって洞察されて存在している節制に伴いながら、これと同じ領域に生じる」(276頁)。2013/10/14
白義
13
樽のディオゲネス登場。ほとんど学説が紹介されてないのに、エピソードだけで紙数が埋まる反則的個性の持ち主で、傍若無人な変人でありながら王も恐れずそこをどけといい、貨幣偽造も悪びれず、哲学者は世界市民であるべしと普遍的な方向に突き抜けた、古代哲学史最大の変人でありながらこれこそ見事な哲学者とすら思える奇人だ。女性哲学者ヒッパルキアも出てくる。アリストテレスはあっさり目でストア学派の解説が長いが、その学説の全体像は資料も少なくあまり知られていないため凄く貴重2013/12/22
Ex libris 毒餃子
10
ディオゲネスとゼノンの解説でほぼ占められている。逆にアリストテレスはあっさり過ぎた。2021/09/19