出版社内容情報
この精神医学的天才論の古典は,「人類中の稀有にして極端な変種」である天才が,いかなる生物学的な条件のもとに出現するか,天才の創造活動が精神障害とどうかかわるか,など興味つきぬ課題を多くの病跡学的データにもとづいて究明する.著者の厳密な科学精神と豊かな芸術的直観とのみごとな産物である. (解説 飯田 真)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
27
車中で読むにはやや理屈っぽい内容だったが、テーマが興味深くて、案外とすらすら読み進めることができた。 内容に古さも感じたし、言うまでもないことだが、精神医学であろうと、天才の創造性にどこまで迫れるかは最初から疑念も抱かざるを得ない。 小生が興味深いというのは、いろんな天才たちの意外な素顔を知れたから、という点が大きい気がする。 2018/03/19
アミアンの和約
16
馬鹿と天才は紙一重とは言うが、やはり歴史に残る事績を残す者というのは世間一般からはかけ離れているものなのかもしれない。2024/02/06
Bashlier
13
4/5 過去の偉人の共通点を探り出そうと悪戦苦闘した秀作。”天才とは、優れた頭脳を以って生まれて、精神病理をなんとか中程度に抑え込んだ人々”との主張です。”優れた頭脳を持って生まれるかは確率次第も、血筋によって率の高低がある。”、”優れた頭脳は神経症を伴って生まれてくるが、周囲の人の働きかけによって軽中度に抑え込むことが出来る。”、”重度に進行すると犯罪者や鬱病となるか自殺などで早世してしまう”。研究内容は、出版前でなく後世の偉人にも当てはまるように感じます。いつの世も天才の活用が社会課題ですね。2023/03/13
Mentyu
7
いささか遺伝決定論に過ぎるのではと思うところや、男尊女卑だなぁという部分もあったけど、天才として紹介されている人たちの壊れっぷりエピソードはおもしろく読めた。普通の伝記や本人の著作からはなかなか私生活が見えてこないので。ちょっと変わった人こそイノベーションを起こすというのは著者の指摘する通りなんだろうなと。もっとも、その裏には一生をただの奇人変人で終わってしまった人たちの屍の山があるのだろうけど。2019/10/05
isao_key
7
ここでいう天才とは「積極的な価値感情を広い範囲の人々の間に永続的に、しかも稀に見るほど強くよびおこすことのできる人格」と緒言で述べている。本文中に、よく知られた、それほど知られていない、学者、芸術家、医者、作家たちが紹介されている。体系型での分析もしている。「肥満型の人は周期的な感情動揺にかたむきやすい(ゲーテ)。ある時は悲愁へ、また他の時は明朗へと、わけのわからぬ気分変換を時折り示す傾向があり、ことに中年あるいは更年期に至って憂鬱性精神病に罹りやすい」かなり大胆に、またあからさまに、人物を評している。2014/05/31