出版社内容情報
現代ドイツ哲学界の第一人者マルチン・ハイデガーの主著.ギリシア以来のヨーロッパ哲学の高貴な宿題である存在一般の意味を,限りある個々の人間の根本構造の分析を通じて,時間の視界から決定しようと企てる.今世紀前半の哲学の大勢を制し,形而上学の復興,またそれ以後,実存哲学の発展に,大きな影響を与えた名著である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
28
山形村リサイクルコーナーから拝借。多少折り目と書き込みがあり、参考になった。存在は最も普遍的な概念(19頁)。現存在が、それに対してこれこれの態度をもつことができ、なおかつつねになんらかの態度をとっている当面の存在自体を、わたしたちは 実存(傍点)と名づける(35頁)。現存在の本質は、その実存にある(傍点85頁)。適在性という在り方で存在するものを出会わせる働きの基となるところとしての自己指示的な了解作用がそのなかでおこなわれるところが、世界という現象(168頁)。2016/07/09
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7
鉛筆があれば、ノート、消しゴム、机、ランプetc)と他の道具を指示し関係しつつ現存在の環境を構成している。道具から構成される現存在の環境を世界と呼ぶと現存在は世界内存在する存在として存在する。現存在の存在の仕方は、道具を触知する配慮の働きから、道具の指示連関を認識し、自己の環境=世界を理解し、自己の存在態度をとる(実存する)という仕方で存在する。この宇宙なり地球なり三次元であるといった空間性ではなく、環境としてある現存在の空間性を掴むことがこの巻の肝。のち、有名なダスマン(世人、ひと)の説明があるが、 2020/01/12
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7
って存在なり、現存在以外の様々な事物が現れるのであり、一先ず現存在というものの存在の構えを探求することが宣言される。存在の現れを探求する方法は現象学をとる。現象学は現象+学に分けられるが、古代ギリシャに遡り、どちらも二重の構造をもつことを指摘。現象は本質-現象とセットで語られるように、何かあるものが、何かとして現れるという構造をもち、学(ロゴス)はギリシャでは「話し」という意味で、裁判のように、実際の発話(発言)と言及されている事態からなり、発言を通して、事態が発言を構成しているようにまでベールを剥いでク2020/01/10
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6
これで以前感想漏れの空白がゼロに。存在的、存在論的、実存的。存在的は一般的なカテゴリー類型化で「それは何か」の分類。存在論的はそれはどのように存在しているかとう視点で、この巻では主に道具というものの分析から世界(環境)を析出して、次の巻でそのような環境で現存在が如何に存在しているかという実存論的な分析をしていく流れ。さっさと読み終えるぞ2020/01/12
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5
存在の問いの形成という、わけわからんことを主題にした本。存在論と呼ばれる分野があるが、存在(being)は普段日常的に使われる言葉であり漠然とした理解のもと使用しているのであるが、漠然とした存在理解のベースとなっているギリシャ、キリスト教の存在理解を解体し、新しいものの見方の創設するという壮大な構想を忍ばせてもいる。アメフトとは、黒曜石とは、民主主義とは何かなど、様々な対象の存在を問う前に、存在を問う者「現存在」が如何にあるかという問いをたてた。A問うもの(主体)B対象に加えC環境という大枠で考えるが 2024/03/04