出版社内容情報
眠れない夜はつらい.しかしいたずらに嘆いていないで,我々はそれを,日頃怠りがちな自己反省のための静かな妨げられない時間として活用しようではないか.ヒルティ(一八九一‐一九〇九)は青年に向かってこう語りかける.スイスの法学者・哲学者であった著者が,聖書の言葉を引きつつ人はいかに生きいかに自分を深めてゆくかを諄々と説く.
内容説明
枕頭の書として多数の読者に迎えられた第一部に続き、「必要に応じて一年ごとに第一部と交替に読めるよう第二部を」との要望に応えて編まれたもの。第一部同様、含蓄深い哲学的断章により、人間とは何か、神とは、愛とは、死とは、と誰もが避けて通れない問題が論じられる。すべてがきわめて実際的であり、簡明で的確な言葉に満ちた人生の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
39
『二月二十八日 われわれは、心の中に起るどんな良い衝動でも、例えば物を整理しようとするようなごくささいな善い衝動であっても、いつも即座にそれに従い、実行することによって先へ延ばしたり変更したりできないようにしなければならない。——同じように心の中のどんな悪い衝動についても、つねに直ちにこれに抵抗しなければならない。そうしないと、善い事への衝動はしだいに弱く、また稀にしか起らなくなり、一方、悪事への衝動は、抵抗しないために、ますます強くなり、頻繁に襲ってくる。善へ進んで行くのも、悪へ陥って行くのも、2023/03/21
絹恵
37
福音書から引用しながら、それを盲信するだけでは幸福を感じることは出来ないのだという考えを、読書を愛する人/考える人に伝えているのだと思います。秩序を愛すると障害は減少するかもしれないけれど、偶然の重なりを受け容れることもまた貴いことでした。不必要に怖れすぎないで、期待することが出来たら、"愛はすべてにうち勝つ。(Amor omnia vincit)"2015/04/19
まろにしも
13
★★★★ カール・ヒルティが晩年に書いた本。死後、ヒルティの娘によって発表された。教会の形式主義に陥ることなく、人間知に富み、圧倒的な教養家。弁護士、大学教授、政治家、国際仲裁裁判所判事として生涯、多忙であったヒルティ。彼の語るキリスト教信仰は、極めてシンプルだけど、実践的で深い。彼がこの世での生活を静かに終えたとき、卓上には聖書と最後の論文「永遠の平和」が載せられてあったのは象徴的。2016/09/22
Ex libris 毒餃子
11
キリスト教思想を学ぶには一部の方が精緻なイメージ。補遺をよんでいるように感じた。2023/01/28
KAN
10
半年以上かかった。本書の構成通り1年かけて毎日一節ずつ読んでいくのが理想だろうけれど、毎日の朝の通勤バスの中で少しずつ読み、気になったところはパソコンのテキストに書き写して、参照されている聖句と一緒に記録として残していくと、内容に対する思索・思想を深めることができた。既成のキリスト教、カトリック・プロテスタントに縛られない、しかしイエスの救いは歴史的事実として信仰を持って受け止め、永遠の生命を見つめながら生きる。19世紀末を生きた本当のクリスチャンの思想は広く普遍性を持つ。もっと多くの人に読んで欲しい。2019/03/25