岩波文庫
将来の哲学の根本命題 - 他二篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 192p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003363331
  • NDC分類 134.5
  • Cコード C0110

出版社内容情報

フォイエルバッハはヘーゲル左派の最も急進的な思想家だった.彼は『将来の哲学の根本命題』によって,唯物論の立場からヘーゲル哲学を徹底的に批判し,冷たい理性の世界から,哲学を感性的な自然の人間の手にとり返したのである.彼の「人間学」は若きマルクスに大きな影響を与え,マルクス主義形成への大きな転機となった.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

14
面白い部分と理解不十分な部分がありました。神学を考えたことがないので、神学の影響の大きさを認識するとともに、神学が関連している部分は興味深く読むことができました。「思考と存在の統一は、人間がこの統一の根拠・主体としてとらえられる場合にのみ、意味がありまた真理」という言葉は入りやすかったです。2020/11/03

CCC

11
神学も観念論も自分由来の、しかし自分という枠組みの外から見た絶対的な視点になっていて矛盾があり、その矛盾が思想と現実を切断している。思想を現実と切り離された仮想的なものにしないためには、直接的にしろ間接的にしろ絶対化されていない自分自身からスタートして、自分と自分ではなく自分と他者の対話から考える姿勢が求められる、といった感じか。批判は厳しいが、超越者の論理から人間の論理に哲学を更新し、健全性を取り戻そうとするスタンスは真っ当に思えた。ただその要求の先に難しい問題がいくつも転がっているのも見える。2023/11/03

左手爆弾

5
興味深い。ヘーゲルに象徴される観念論的体系、思弁哲学と化した神学に批判を加えることによって、それまでの全ての哲学に対して宣戦布告する。そして、将来の哲学は旧哲学と異なり、人間学と成らなければならないと宣言。それは感性・愛・身体といった現実に存在する人間の有り様を問題とする哲学になる。こうした思想を、[ヘーゲル、シェリング的なもの]と、[ショーペンハウアー、ニーチェ]的なものの中間におかれるものとして考えると、実存主義の思想史的意義がより浮かび上がるのではないだろうか。2014/08/10

はちくま

3
解説ではかなり厳しいことも書かれているけれど、時代が早かったのだから仕方ないのでは。ある意味楽観的な人間主義は、フォイエルバッハの人となりを感じさせて、微笑ましい気もする。2012/11/29

KN

2
ヘーゲル後の哲学のはじまりを告げた著作。萌芽の段階にすぎないとはいえ、後の実存主義や現象学、他者の思想につながるアイデアがすべてここに出揃っている。重要なのは、フォイエルバッハの宗教批判が単なる唯物論ではないことだ。人間から疎外された天上の神を人間のうちに取り戻すことで新しい哲学は宗教の力を兼ねるのだとしているところに注目すべきである。疎外された自然や人間をただ肯定するだけの立場は、フォイエルバッハのそれとは似て非なるものだ。無の思想を批判した個所も重要。2018/03/07

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