岩波文庫
人知原理論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 258,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003361818
  • NDC分類 133.3
  • Cコード C0110

出版社内容情報

18世紀イギリスの古典的経験論の発達史の中でロックとヒュームを媒介する地位にあるバークリ(1685‐1753).「存在するとは知覚されることである」という命題をもって知られている彼の哲学は,観念論の立場を明晰かつ大胆に擁護したものであり,その古典的な率直明快さはレーニンによっても高く評価されている.綿密な訳注と解説を付す.

内容説明

ロックの後継者とされる経験論哲学者の主著。「存在するとは知覚することである」という哲学を観念論の立場から明快に展開する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

13
知覚される観念があるだけで物質そのものは存在しないと論じたことで独我論と懐疑論の代表のように語られるバークリー哲学は、実はもっと異様。誰かが知覚してなければ観念としての物は存在しないという理論は、今どの人間も知覚していない物があっても、少なくとも一人は全ての物を知覚している精神がいるという結論を導く。心の外部には何もなく唯一の全知全能の精神があらゆる人に色や味や匂いの観念を保証しているバークリーの宇宙では、バーチャルな感覚データをケーブル接続された各人の頭脳に送り込んで夢を見させ続けるような神が統治する。2016/03/25

白義

5
物質は存在せず、ただ心が知覚する観念があるのみというこの本の中心的主張は突飛だが、それを論証するために物質と心象の不可分性を指摘するところはバカにできないロジックの冴えがある。そこから導き出される自然、世界の姿は記号としての世界像であり、それら記号、観念の深層には神の法がある。この見方は、多少変換すれば神を自然にすることもできるし、部分部分では思いの外現代と適合的な思想でもある印象を受けた。デカルト他近代哲学者は大体そうだが、こういう常識外れの奇想的な思考が神への敬虔ゆえというのも面白いと思う2012/08/08

梟と娘

0
「今使ってる鉛筆とか台所のスポンジとかって俺が寝てる時にもちゃんとあるのかなぁ?」という俺の幼少期の無垢な疑問と同じ疑問をバークリーは持っていて、彼は「見てないならそれは無いと同じ!」って言い切った人であり、俺は「見ていなくてもあるものはあるんだなぁ」と何となく納得した側の人です。2015/12/09

ppp

0
よくみたらここでは初読。主に観念説のカバーが手薄になる関係や心、神の把握について。思念(notion)が鍵になるのだろうけど、この問題は『対話』を含め、バークリが十分に議論したようには見えない。読み手でカバーするか批判の論点とするか分かれるところだろうか。2014/08/04

ハンギ

0
バークリーは哲学者だが、宗教色がかなり強い。心(精神)は延長を理解するが、延長ではなく、永遠的に存在する、これはデカルトの意見に似ている。また延長はただの概念であり、物質を理解しようとしても結局は、無神論、偶像崇拝に陥ってしまうと警告を発している。またジョンロックを批判し、言葉を中心にする哲学を否定し、自分の外に物質があることを自明視する哲学を否定する。僕たちは外を見ている時、風景は感覚によってもたらされたものであり、本当の姿は違うものかもしれない、という疑問を実は切り捨てるバークリーは清々しい。2014/03/16

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