出版社内容情報
近代日本の開国の立役者ペルリ提督は「日米和親条約」を結んだが,真の通商条約はハリス(1804‐1878)によって締結された.本書は一介の商人であったハリスが,にわか仕立ての外交官となり,単身江戸に乗込んで以来,攘夷の白刃の下をくぐりながら,逞ましい気魄と,比類なき外交手腕をもって開国の難事業をなしとげるまでの2年余の日記.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
3
『日本滞在記』とはあるもののハリスは本来外交官ではなく商人としてかなり広範囲に世界を飛び回り、外交官としてのデビューは1855年、ピアーズ大統領に初代駐日領事として任命されてからだが、その前にシャム、つまり現在のタイ王国との通商条約締結を命じられ、上巻ではシャム王国高官との折衝を約300頁も読まされるから敵わない。相対的にハリスのシャム人に対する印象が酷く悪い。 もう二度とこの国には来たくないと言っている。 ハリスがシャムを離れ船上の人となり日本へ向かうのは1856年5月31日からで、いよいよ下田だ。2017/09/22
isao_key
3
上巻は、ハリスがタイで修好条約の改正を行ってから、下田に到着するまでのことが書かれている。この巻の多くは、タイに関する記述である。彼はタイについてかなり辛らつな表現をしている。結婚制度、奴隷制度について述べた後「(タイでは)男色は、ひじょうに晋く行われ、獣姦もまた同様である。いずれに対しても、処罰はきびしくなく、必罰は僧侶の場合だけである。姦通も極めて普通のこととなっているが、殆ど処罰されないでいる。」(p156)また「嘘をつくことは、この国では、国王から下々にいたるまでの通例となっている。」(p234)2012/05/09
takuchan
1
世界に殆ど知られていない人民を調査して、その社会、道徳、政治の状態について報告しなければならず、同国の産物ー動物、植物、鉱物を確かめねばならず、同国の工業生産物を見出さなければならない。/ 日本に着く直前のハリスの意気込みがすごい。2014/11/06