出版社内容情報
ランケの病歿により,「世界史」の偉業は完成できなかった.殊にランケ史学の最重要部分たる近世が空白に残されたのはまことに惜しむべきである.しかし彼の全生涯の業績にもとづく「世界史」の草案である本書によって彼の全体系を覗い得る.もっとも簡潔,もっとも普遍的,今日なおその王座を占める代表的世界史の古典である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
22
19世紀中葉の歴史家・思想家であるレオポルト・フォン・ランケが、彼に師事するバイエルン王マクシミリアン2世に対し、古代より現代、すなわち彼の生きた時代の少し前までの歴史を講義した講演記録。結局は西欧的・宗教的な偏りが大きい旧弊なものに過ぎないと思っていたのですが、どうしてどうして見事な歴史の講義を楽しめました。むろん欧州文化を至高のものとしてアジアをすべて一律に野蛮とするなど、惜しむらくは、という点は多々あるものの、なぜこのような方向に歴史が流れたかについての解釈が見事。2022/05/14
CCC
7
内容はほとんど古代から近代までのヨーロッパ史。しかし歴史学についての見解を述べている部分もあった。ランケは単に史実を明らかにすることを目的にしていたわけではないが、きちんと史実をベースにして歴史を語るべきだと、そういう考えだったのだろう。多分。そして歴史哲学がそうなっておらず、実証精神がないことを非難している。が、その語り口は史料には気を払っていても、自身のバイアスには気を払っていない感じがした。歴史観が典型的な西洋中心史観のうちに留まっているのも、それが原因じゃないだろうか。2020/11/29
6 - hey
5
歴史学の祖と呼ばれるランケ。マックス王との対談が面白い。「人」を理解する手段は哲学と歴史だという冒頭の話も納得させられる。2012/11/22
讃壽鐵朗
4
翻訳が古いがそれなりに重みはある。内容の理解は大変だが。2017/06/15
東雲
4
歴史学の祖と呼ばれるランケの世界史観を俯瞰することの出来る唯一の本。それを形にする前に亡くなってしまったことが惜しまれます。マクシミリアン二世が何度も呼び寄せて語らせた気持ちが理解出来る程面白かった。要点が纏められている上に流れを読める。世界史の教科書もこのくらい分りやすければいいんですけどね……。しかし世界史をやっていない人にはお勧めしません。名前表記が英語なのでややこしい。一旦世界史を頭に入れてから読んだ方が良いです。もしくは教科書を広げながら。もしも今後改訳するなら国別の名前表記にしてほしいです。2014/09/05