出版社内容情報
「歴史の父」の名を冠されるギリシアの史家が述べる,前五世紀のペルシア戦争を頂点とする東西抗争,東方諸国の歴史.著者は,ギリシア人と異邦人とが果した偉大な事跡,両者が争うに至った原因を後世に伝えるべくこれを書いた.何よりもまず正確さが重視され,豊富に織りこまれた説話は長巻を飽かず読ませる魅力をもつ.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃれら
19
ひたすらにいざこざと戦争と略奪の経緯が綴られている。どこの政体も内政が安定すると外国へ遠征に行くのはなぜなのか考えてしまう。兵力を養い続けるため、ということなのかな。恨みの連鎖がギリシア側の足並みを乱している巻だが、ダレイオス王の傲慢な気まぐれもペルシア側にプラスとは思えない。下巻はいかに。2024/03/18
速読おやじ
13
中巻を読むのにエライ時間がかかってしまった。端的に言うと物語としてはやや退屈に感じることが多いのだ。無論、歴史書なのでお堅いところもあるにはあるのだが、この歴史書、真実だけが書かれているわけではなく、その辺で聞いてきたようなものも含まれている。話に一貫性がなく飛びまくるのだが、一番厄介なのはやはり人名とか単位とかだろうか。さっぱり頭に入ってこない(笑)2020/10/27
壱萬弐仟縁
13
求婚の話が興味深い。クレイステネスは求婚者たちの面接において、能力、性向、教養、行儀など綿密に試験した(274頁)。やがて結婚披露宴。クレイステネスが求婚者全部から選んだ婿を発表。求婚者たちは食事後、音楽や座興のスピーチで技を競演。ヒッポクレイデスは他を圧倒。クレイステネスはこの行為に疑念を抱いた(275頁)。婿になれなかった求婚者に故郷を離れた償いとして銀1タラントンを贈呈するとした(276頁)。アルクメオンがクレイステネスの眼鏡にかなったのだった。お父さんに気に入ってもらうには信用に値する振る舞いを。2013/09/19
サアベドラ
13
一つ目族やグリフィンが住むという、嘘のようなスキュティアとリビアの記述が延々続いた後、半分を越えた辺でやっとイオニア諸都市の反乱に話が移り、マラトンの戦いでアテナイ軍が勝利したところで中巻が終わる。有名な「ヨーロッパ的民主制とアジア的専制君主制の対決」という見方(歴史観)は、端々には出てくるものの思ったほど強くは感じられなかった。そもそもペルシア軍をマラトンに誘導したのは亡命アテナイ人だったりするわけだし。相変わらず話があっちこっちに飛んで読みづらいが、ここら辺に来てやっと歴史書としての面白さが出てきた。2010/08/23
ドラマチックガス
12
上巻には地図や単位換算表が、下巻には人名索引があるけれど、中巻にはなにもない。難易度倍増。話がとんだり、亡くなったと明記された後にエピソードが延々紹介されたり、とにかく読み進むのが大変だった。面白く読んでいたはずなのに、読み終えてみると特に何も覚えていないという危険な状況。マラトンの戦いまでだが、「世界最初のマラソンランナー」のエピソードは出てこなかった。クレオメネスの娘ゴルゴが(名前のインパクトも含めて)気になる。下巻で活躍するのか、他の多くの登場人物同様フェードアウトか。2021/07/04