出版社内容情報
非暴力・不服従主義で知られる「インド独立の父」ガーンディー(1869-1948)の主著.著者と急進的な若者との対話形式で書かれ,イギリス支配下での近代文明を批判,真の文明とは何か,真の独立のあるべき道を論ずる.
内容説明
非暴力・不服従主義による民族運動で知られる「インド独立の父」ガーンディーが、自らの思想と運動の基本理念について述べた主著。編集者(ガーンディー)と読者(急進的な若者)との対話形式で書かれ、イギリス支配のもとでの近代文明を批判、真の文明とは何か、インドの真の独立のあるべき道について論ずる。
目次
国民会議とその指導者たち
ベンガル分割
不穏と不満
自治とはなにか
イングランドの状態
文明の哲学
インドはなぜ滅んだか
インドの状態
真の文明とはなにか
インドはどのようにして解放されるか
イタリヤとインド
銃火
サッティーヤーグラハ―魂の力
教育
機械
解放
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおにし
12
インドをイギリスの奴隷にしたのは、自分たち英語を知っているインド人であるとガンディーは言っています。子供たちは母語を学び、宗教教育を受けた後に英語を学ぶべきであり、英語はイギリス人たち自身、自分の文明にどのように悩んでいるかを知るために使うことを主張しています。ガンディーは言語によるイギリスの植民地支配と闘ったのだということがわかりました。ちなみに現在のインドはヒンディー語を公用語にすることに決めたものの、多言語国家であるためヒンディー語統一は難しく、依然として英語も公用語として使われています。2013/12/06
白義
11
これほど苛烈な近現代文明批判の書とは思いもしなかった。弁護士や医者、鉄道など近代システムを支える基盤をことごとく魂を汚すものと批判していく様は凄絶。聞き手がそれではいかにインドは立ち上がるのかと聞けば、それはサッティヤーグラハ、西洋文明に従属しない真の魂を取り戻すことだという。そしてそのサッティヤーグラハこそが、あの非暴力不服従主義の根本精神なのである。ガンディーのスゴいのは、これを運動として実行したことだろう。その事実も本書全体に、強靭な生命力を与えている2012/08/02
Kawai Hideki
9
インド独立の父・ガンジーが、非暴力・不服従運動の基本理念を、読者との対話形式で書いた本。当時40歳。平易なロジックと的確なたとえ話で、インドがイギリスに隷属した原因と「真の独立とは何か」が語られる。経済、鉄道、弁護士、医者、教育、機械などの西洋文明を片っ端から「非文明」と切り捨て、非文明に病むイギリス人を哀れみ、「慈悲の力」でイギリス人の間違いを正し、インド本来の宗教的生活へ回帰するのが「真の独立への道」だという。世界を変えるメッセージはシンプルで力強く、偏っていた。彼が今のインドを見たら何と言うだろうか2013/06/29
うちこ
4
対話の中で東インド会社が「勇者カンパニー」というニックネームのような名前で呼ばれていたり、独特のトーン。 シリアスになりすぎたらこの状況に負けてしまう、そんなふうに考えていたのかなと思う箇所もあります。質問の設定はすべて「イギリスに対するおびえ」「イスラームに対する劣等感」という、ヒンドゥー教の人々の深いところを丸裸にするもの。切り込むどころの深さではない。 当時のヒンドゥー教の人たちのメンタルには、こういう追い込まれたような部分もあったのだな…、と、うかがい知れる箇所もありました。2017/08/14
ゴッツ
2
この本でガンディーでイギリスの機械文明を否定していたが、どちらかと言えば利益至上の資本主義が道徳を破壊しインドを汚染すると思うので必ずしも機械が悪いと思わない。 サッティヤーグラハ(慈悲の力)を非暴力と解釈していたが人間は残酷なことも平気でやってしまうからやられっぱなしになるならあまり共感がもてない。2015/07/04