岩波文庫
長谷川如是閑評論集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 394p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003317617
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

如是閑(一八七五‐一九六九)は「断じて行わず」を座右銘に,あくまで見る立場から,生涯を一管の筆に託して生き通した.本書は,彼の長い軌跡の中で最も精彩を放っている大正デモクラシーから昭和ファシズム批判の時期に焦点をあて,更に随筆,人物評を加えて,大宅壮一をして「思想のピラミッド」といわしめた著者の全体像を示すべく努めた.

内容説明

如是閑は「断じて行わず」を座右銘に、あくまで「見る」立場から、生涯を一管の筆に託して生き通した。本文庫は、彼の長い軌跡の中で最も精彩を放っている大正デモクラシーから昭和ファシズム批判の時期に焦点をあて、さらに随筆・人物評を加えて、大宅壮一をして「思想のピラミッド」といわしめた著書の全体像を示すべく努めた。

目次

権力の外にある世界―砂山をめぐる子供の共同の享楽
アンチ・ヒロイズム断片―私の有史以前の記憶の数節
余技界のギルドに対する叛逆者
私の書斎と読書法
「リットル・クリティックス」―〓は語る
真実はかく佯る(抄)
国家の進化と愛国的精神
快楽論的労働感を排す
孔子と老子
日本文化と自然
生活様式から見た日本人気質
明治を思う
森戸助教授筆禍事件の論理的解剖、傾向及批判(抄)
一日一題(抄)
現代の新聞と新聞記者
ラジオ文化の根本問題
三宅雪嶺の人と哲学
初めて逢った漱石
堺利彦
吉野作造博士と彼れの時代
如是閑語(抄)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

びす男

50
国家について、日常の些事について、同じ時代を生きた巨人たちについて。長谷川如是閑の見方が、ユーモアも交えつつ語られている。彼のペンが踊っているのが目に浮かぶような、ウキウキさせる文体である。本当に書くことが好きでなければ、こうは書けないだろうと思う。個人的には野球について語っている箇所がツボだった。「敗けた学生がオイオイ泣いたりするのを見ると、此方もむやみと悲しくなって、きまりがわるくて仕方がない。そうして結局、ベースボールというものは大変悲しいものだということがわかっただけで、他の理屈はよく解らない」。2015/06/13

てれまこし

3
如是閑は柳田国男と同じく明治8年生まれ。ドイツ学が有勢になる前に教育を終えた世代である。彼らの教養はアングロ・サクソン流の実証主義であり、その政治観は英米系リベラル・デモクラシーに親和性がある。生活感覚から懸け離れた抽象論は苦手な世代だ。そのため、ドイツ国家学や哲学を学んだ帝大教授やマルクス・ボーイたちからは、雑学的な教養で軽妙な文章を書く随筆家と見下されがち。しかし、如是閑はこの生活人の感覚に基づいた実証主義を明治人の特質とし、またこれを江戸職人の気質と通ずるものとする。リベラリズムは輸入品とは限らん。2018/05/14

於間抜新吾

0
日本人とは、という問いに符に落ちる答えを知ることができたと思う。2016/03/03

にゃん吉

0
明治から昭和を生きた批評家の評論集。著者の反骨の人柄が偲ばれるような「余技界のギルドに対する叛逆者」、明治という時代の一面が知れる「明治を思う」、本邦での新聞の誕生から変容が知れる「現代の新聞と新聞記者」、個人的になかなか触れる機会のなかった三宅雪嶺の人柄や思想の一端が知れた「三宅雪嶺の人と哲学」、江戸っ子漱石の一面が垣間見えるような「初めて逢った漱石」が、個人的には印象的でした。 2020/11/15

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